TOEFLが高校入試に!?~神戸ビジネススクールの人気コラムシリーズ
前回に引き続き、Newsweek日本版7月23日号の特集記事からTOEFLの導入について考えていきたいと思います。前回は、日本人の英語力についてでした。今回は、TOEFLテストへの取り組みを取り上げます。
特集記事2「TOEFL時代を乗り切る英語術」
-難しい問題集を買うよりも、「楽にできる」ことを増やすほうが効率的だ。(中略)学校も個人の学習者も「知っている」知識を「使える」知識に格上げする努力をほとんどしていない。
-難しめの教材を必死で訳読する方法も効率が悪い。(中略)読む教材のレベルを下げて、(略)背景知識のあるジャンルの読み物を選ぶことも、学習効果を高めるコツだ。
「楽にできる」ことを増やす、これは特にスピーキングとライティングにおいて効果的です。今の中学と高校の英語の教科書は実によくできています。そこで普通に勉強してきた人であれば、文法事項も語彙も基本は頭に入っています。ですから、最低限の英会話ぐらいはこなせて、簡単なメールくらいは書けてもいいはずです。それなのに難関を突破したはずの国立大学の大学生ですら英語で苦戦するのはなぜでしょう。これは、インプットした知識を「使える」ように訓練をしていないからです。
泳げない人に、4種目泳法の歴史、科学的理論、運動学的習得法などを教えこんだところで、水に入って練習しなければ息継ぎさえできません。「体で覚える」ことは英語学習にも必要なのです。外国語で話すとき、私達は脳内にインプットされている知識を呼び出して、発話の意味を理解し、文章を組み立てて話すという高度なプロセスを無意識に行っています。それをスムーズに素早く行うためには、あいさつから日常会話へ、そしてメール・電話・プレゼンテーション・論文などと順を追って進んでいかなくてはいけません。水泳に例えれば、バタ足から息つぎへ、さらに他の泳法へと言うように簡単なことから繰り返し練習し、長年かかって高度な技術をマスターしていくのと同じです。
辞書を片手に、難解な長文読解を単語の意味を調べながら和訳していき、同時に文章を分解して「このwhichは非制限用法の関係代名詞であって、前文すべてを修飾しており」という英語学習を否定はしません。難易度の高い文章を読解するには、必要だからです。しかし話す練習に不向きなことは明らかです。私が問題だと思うのは、英語の用途別、つまりどういった場面でどんな英語を使うのか、という個人のニーズがあまり考えられていないということです。
海水浴に行って溺れない程度に泳げればいい、という人と、オリンピックの代表選手を目指して特訓を重ねる水泳部員とでは、水泳に対するアプローチが全く違うでしょう。語学も同じではないでしょうか。海外旅行に行って少し会話ができればいい、という人と、国際医学学会で論文を発表しなくてはならない人、東南アジアの支店へ派遣されて現地の人のブロークンな英語と渡り合っていかなくてはいけない人、ではそれぞれ英語学習に対するアプローチが違うべきです。
TOEICのスコアがまるでグローバルを目指す社会人の偏差値のように大合唱されている中、学生にとってTOEFLのスコアという新たな偏差値が出現しつつあります。両方とも上手に利用すれば英語学習に役立つことは間違いありません。しかし私の脳裏には、「次はTOEFL!」と血眼になってスコアを上げる勉強法を探し回る図がどうしても浮かんでしまいます。自分は何のために、どんな英語を学びたいのかをもう一度考えてみることも必要ではないでしょうか。
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