Englishes 世界の英語いろいろ~神戸ビジネススクールの人気コラムシリーズ
グローバルビジネスにおける共通言語としての英語の必要性はますます高まっています。それに伴って、英語ができればそれでいいのか、という問題については繰り返し論議がなされています。楽天のように英語を社内公用語とする会社が出てくる前の2007年に勢古浩爾氏が「目にあまる英語バカ」という本を刊行しました。タイトルが目についたので、読んでみました。
著者の勢古氏は洋書輸入会社を引退されて以来、執筆活動をされています。「目にあまる英語バカ」では、自らも英語を勉強してきた人間だったが、本質を見失った英語バカになったことを反省しているそうです。
氏は、実に辛らつに日本人の英語コンプレックスを分析していきます。過激な部分も多いので、多少読みづらさもありますが、次の一節は私にとって目からウロコでした。なぜなら、私も日ごろよく学生さんたちに「今まで中高6年間は英語をやってきたのに、と思いますよね」みたいな話をしているからです。学校の英語授業を離れてからいざ英語を使おうとすると、簡単な会話でも思っていることが英語で話せない、日常的な文章が英語で書けない、ということにほとんどの人がショックを受けます。
「日本の英語教育が正しい、とはいわない。だが、あなたね、そもそも『中高大と10年も習った』のに、というのが真っ赤なウソなのだ。というより、あまりにも人口に膾炙しすぎた錯覚なのである。ちょっと胸に手を当てて、考えてみて。あなた、ほんとうに「10年間」ちゃんと英語を勉強しましたか。毎日一時間でも二時間でもいい、10年やったですか。一年でもいい。やったですか。どこの人間だ、おれは。いやわずか半年でもいい。やっちゃおらんでしょうが。
結局、だれもがいうように、『中高大学10年間やっても話せないんだから、だめだこんな英語教育じゃあ』も、『文法ばっかりだからなあ、もっと英会話重視にすればいいんだ』も、関係がなかったのである。世迷言だったのである。そもそも『中高大学10年間』英語を習ったけど、というのがまったくのウソだったんだね。10年間英語を『勉強した』のに、はさらに大ウソだったのである。」
大学では学科によってほとんど英語を勉強しない場合もありますから、10年間とはいかないかもしれません。それでも、6年間は誰でも必須で英語の授業が結構な数あったはずです。教え方、教材などが悪かったと言う前に、人のせいにするな、というのが彼の主張です。彼は、勉強するとはどういうことかという根本的な問題をこうした口語調(べらんめえ、と評した人もいますが)で追求していきます。「勉強をするなら基本は独学である」と彼は結論づけますが、これは全く正しいと思います。しかし、世の中はものすごいスピードで変わっていきます。もはや、英語はできる人だけがやればいい、という時代ではなくなりつつあります。日常業務に追われながら独学で英語を勉強し続けるのは、非常に難しいことも事実です。
そうした背景から、アマゾンの書評には次のような厳しい意見もあります。
「日本経済が縮小しグローバル経済が加速する中で、英語無しで今の世界的に高い賃金を維持することが可能だと思っているのか。
著者の頭の中は高度経済成長で止まっているのではないか。
世の中の情勢を全く理解していない、決まった仕事をすれば金は貰えると考えている典型的な思考停止の団塊世代人である。」
「この本が出た頃には勢古氏の言い分も尤もであったが、たかが英語ぐらい出来なきゃ社会人失格・負け組一直線のように煽られる現状にあっては『必要がないから英語は出来なくて当然』という理論では太刀打ちできないので、是非とも続編を希望します。」
結局、日本人にとって英語とは?という究極の疑問に対する答えは見えないままです。私自身も長年英語に関わってきていますが、未だ納得はいきません・・・
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