5歳で英検?~神戸ビジネススクールの人気コラムシリーズ
「英語を勉強するのは、英語しかできないバカに騙されないため」2012年11月5日
ドキッとする出だしですが、これは、インターネット検索エンジン最大手企業で開発を手がける及川卓也氏のブログのタイトルです。彼はここで最近読んだ本の紹介をしています。http://takuyaoikawa.blogspot.jp/2012/11/blog-post.html ここに挙げられた本の何冊かは私も読みましたが、及川氏の最後の結論付けが秀逸だと思います。
昨今はM&Aによって会社が突然外国企業と事業提携することになり、オリンパスのように社長が外国人になることもありえます。学問としての英語ではなく、ビジネスで通用する英語力が社会人には必要と誰もが思っています。楽天の社内公用語英語化についても、賛否両論が飛び交っています。企業はこぞってTOEICスコアを基準とした英語力を社員に要求し、大学生も就職に有利なようにTOEICの勉強に余念がありません。
まるで日本国中に怒涛のように「とにかく英語」の大合唱が沸き起こっているように感じます。本当に英語を真剣にやらないと取り残されるのか。英語が達者な人はどれぐらい有利なのか。そう疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。そんな中、英語力の必要性について実に納得のいく解答を及川氏のブログに見つけました。以下、抜粋します。
「英語が必要な環境であった場合でも、誰もが英語が話せなければいけないということはないだろう。一部の部署や一部の人だけで十分なことも多い。だが、ここで気をつけないといけないのは、その一部の人たちだけに英語でのコミュニケーションを任せておくと、情報をフィルターされたり、成果を横取りされたり、自分に不利なように話を進められたりする可能性があるのだ。
外資系企業の中には「英語しか話せないバカ」と言われるような人たちがいることがあるそうだ。一般的な業務上の能力が必ずしも秀でて優れているわけでもないにもかかわらず、英語ができるために、本社とのやり取りの中心的な存在になっているような人たちだ。 (中略)英語が堪能な人に会議の主導権を握られ、曖昧に頷くしかなかったために、満足のいかない結論に妥協しなければいけなくなるようなことはある。日本人で英語が堪能な人にそのようにされるのならば、まだその人と協力関係を構築しておけば良いのだが、日本人以外(すなわち、日本語での会話ができない人)に同じように、話の主導権を握られたり、こちらの意図とは違うように解釈されることによって、不利になってしまうこともある。」
私も、このような状態を会議で少なからず経験しています。米国で小中高時代を過ごした帰国子女のHさんは、外国人を交えた英語会議になると、司会そっちのけで弾丸のように喋りまくります。一人で進行と通訳(英語があまり得意でない日本人のために買って出ている)をこなしながら、外国人とわたりあっていきます。彼女は「バカ」ではなく有能なのですが、通訳した内容を聞いていると、「今のはそういう意味ではないけど」と私が思うことがしょっちゅうあります。彼女が出席する会議は、まさに及川氏の言う「英語が堪能な人に会議の主導権を握られ」「こちらの意図とは違うように解釈される」結果になっています。
こうなると、英語がそれほど堪能でない人は発言が億劫になりますし、まして自分よりずっと若い社員が流暢に英語を操っていたりすると、口を開きたくなくなるのも当然です。私が聞いた例でも、外国企業と提携を始めた某大手企業で英語で役員会議をすることになった結果、英語の堪能な社長(発案者でもある)以外の日本人役員が全く意見を出さなくなったそうです。
及川氏の結論は「英語を勉強することとは、あえて極端に言うならば、英語でのコミュニケーションができないということだけで、不利な状況になることを避けるためでもあるのだ。」というものです。重要な会議は通訳を雇うべきだと私は思っていますが、コスト面などで実現しない場合もあるでしょう。そういった時、臆せずに英語で自分の意見を主張することが必要になってきます。英語がブロークンでも間違いだらけでもかまいません、内容が濃ければ耳を傾けてもらえるものです。反対に、立て板に水の流暢な英語でも、ポイントがずれていたり、内容が乏しければ無意味です。
ビジネスシーンにおいて何をどう英語で話すのかを学ぶのは、実はそんなに大変なことではありません。プレゼンでも会議でも、ある程度言い回しは決まっているからです。必要とあればその都度、「こういうことを次回の会議で主張したいが英語でどう表現すればいいか」と相談すればよいのです。神戸ビジネススクールでは、企業様のそうした個々のニーズにお応えし、秘密厳守でお力になるプライベートレッスンのコースもございます。お困りのことがあれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。
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