デイビッド・セイン著「日本人のちょっとヘンな英語」について考える~その2
11月26日付産経新聞のコラムを読んでいて、私は嬉しくなってしまいました。なぜなら、長年の疑問が氷解したからです。「そうだったのか~!」と思わず一人で声を出していました。何かと言いますと、執筆者が米国滞在中に文房具店で途方にくれた話が発端です。「ホッチキスがほしい」という英語が何度言い直しても通じなかった。ホッチキスは英語で staplerなのだから。私の長年の疑問と言うのは、その次にある「なぜstaplerを日本ではホッチキスと言うのだろう?」ということです。
主に明治時代、それまで日本国内にはなかった外国製品が次々に入って来ました。それらを外来語としてカタカナで使うときにオリジナルの意味とは違ってしまったということがよくあります。また、日本では原産国の言語を大切にする(?)というか、敬意を払う傾向があったように思います。したがって、聞こえたままの言葉をカタカナに直して使うようになった結果、英語としては全く通用しないものになってしまったという例もあります。
たとえば、「レントゲン」は英語では X-rayですが、日本語ではX線を発見したドイツのレントゲン博士の名前を使っています。「ランドセル」はオランダ語が語源であの形は日本固有のものですが、英語で言うと backpackです。「アルバイト」はドイツ語の arbeit 「働く」という動詞ですから、英語で通じるはずはなく、part time です。「カルタ」はポルトガル語の「手紙」を表すcartaから来ていますが、日本特有のものです。英語で説明するとすれば、traditional Japanese card gameぐらいでしょうか。面白いことに、英語ではローマ字式に"karuta"と表記します。
発音を聞き違えた例としては、「メリケン粉」があります。アメリカから小麦粉が輸入された時、それまで日本にあったうどん粉と区別するために名前を別にしました。「アメリカン」を早口で発音した時にAの音が落ちて聞こえたので「メリケン」になったのです。神戸にある「メリケンパーク」は、「メリケン波止場」を呼び換えたものです。1800年台後半当時に米国領事館が前にあったことから、「アメリカン波止場」が訛ったものだそうです。
また「イギリス」は江戸時代にまでさかのぼりますが、オランダ語 Engelsch が「エゲレス」と聞こえたから、らしいです。
さて、冒頭のホッチキスの話にもどります。どう考えてもホッチキスは英語のように思えるので、上の二つの例は当てはまりません。「いったいどこでstaplerがホッチキスに変化したのだろう?」と私はずっと疑問に思っていました。産経新聞によりますと、「明治後期に伊藤喜商店(現イトーキ)によって最初に発売されたのが、米国のホッチキス社の製品だったからだ」だそうです。ホッチキス社の社名は機関銃の発明者として知られるベンジャミン・B・ホッチキスの名に由来する、ただし裏づけはないらしいとあります。そこでいったんは納得したのですが、「文房具のホッチキスと機関銃の発明者が同じってどういうこと?」ともう一つ新たな疑問がわいてきました。 そこで、インターネットで少し調べてみました。
長くなりますので、その結果は次回に持ち越します。お楽しみに!
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