日本企業のグローバル化について考える

グレン・ブラウン

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テーマ:副校長の部屋

日本企業内で「グローバル化」という言葉が盛んに聞かれるようになっています。ご存知の通り、日本企業の「グローバル化」言い換えれば海外進出は1980年代と比べて大きく様変わりしています。その中でも、大企業のみならず中小企業にも広がっていることと、海外進出先が欧米から中国や東南アジアへと主な対象を移していることが近年の特徴でしょう。

スイスのビジネススクールIMDのドミニク・テュルパン学長は、日本経済新聞社主催の第14回日経フォーラム「世界経営者会議」(2012年10月30日)で次のように述べています。
「IMDが毎年発表している世界各国の国際競争力ランキングで、日本は1990年代初頭の1位から2010年には27位まで低下した。日本企業では海外経験が社内で評価されず、実際に経験が少ないまま幹部が経営者に昇進している。ビジネスのグローバル化が進む一方で、日本企業は人材のグローバル化に対応できていない。今後これを解消するためには、経営層を海外から登用すると同時にキャリアが浅い段階から若年層に海外経験を積ませるべきだ。」

かなり手厳しい発言ですが、日本企業のグローバル化対応の実態はどうなっているのでしょう。産業能率大学綜合研究所がまとめた、2011年の「グローバル人材の育成と活用に関する実態調査」報告書より抜粋して、現状を探っていきたいと思います。これは、従業員300名以上の企業を対象に、質問紙調査とインタビュー調査から得られた回答約170社分をまとめたものです。

1) 「日本国内のグローバル対応」と「グローバルリーダーの育成」に問題意識を持つ企業が多い
「国内の従業員のグローバル化対応能力が不足している」(80.7%)「グローバルリーダーの育成がうまく進んでいない」(76.8%)「日本の職場のグローバル化対応(外国人社員のマネジメントなど)が進んでいない」(75.9%)

2) 「グローバルリーダー」「グローバルマネジャー」「ローカルマネジャー」いずれも不足感強い
上記3つが現状「不足している」企業が7割弱から9割超。

3) 海外派遣者の体系的な育成の仕組み
仕組みとして整っている企業は少数にとどまる。
「赴任前教育の受講が義務づけられている」(44.0%)「海外派遣者の育成体系を適宜 見直している」(31.0%)「海外派遣者に求められる人材像を明確に定義している」(29.8%)。ただし、いずれも半数未満でそれ以外の項目で「あてはまる」とした企業は2割前後。

4)海外派遣者の選抜
・ライン部門が主導している企業が多く、人事部の関与の度合いは企業によって異なる。明確な選抜基準を持たない企業が多い。
・実際の判断基準としては専門性を重視する企業が多く、語学力はあまり重視されていない。 理由としては、「必ずしも語学力を必要としない仕事があること」「自社の語学力のレベルが高くない場合に候補者が選びにくくなること」「赴任中に語学を身につけてくるという認識があること」があげられた。


5)赴任前教育
「語学」と「赴任先で必須となる知識の習得」中心
「英語」(72.6%)「英語以外の赴任先言語」(58.9%)、「リスク・安全対策」(49.3%)「赴任先の業務知識」(47.9%)「赴任先の視察」(41.1%)などを多く実施。
今後の課題として、「一般論ではなく、より具体的で、個々の赴任者の状況に即した教育」、「トップマネジメントに求められる経営管理知識の教育」を提供していくことなどがあげられた。

6)赴任前教育の期間
30日以上が4割強で最多。平均は30.29日。

この調査結果を見る限りでは、必ずしも海外派遣者に語学力を期待しているわけではないにも関わらず、赴任前教育には英語を課す企業が多いことが読み取れます。果たして、グローバル人材の育成に英語はどこまで必要なのでしょうか。実は、もっと根源的な疑問を私個人としては常に感じています。 そもそも、日本企業は何をもって「グローバル化」としているのでしょうか。あまりにも多種多様化しているために、グローバル化(globalization)自体の定義付けが困難になってしまい、その結果グローバル人材の育成のためには一体何が必要なのかが、ぶれてきている気がしてなりません。

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