思春期と人間関係の広がり
「ある少女」
友人関係・学校生活等に疲れ、うまく食事が摂れなくなっていった中学生の女の子。
同年齢の子たちのいる場所から離れていき、最終的には自分の部屋に入っていく。
ひとりでいるときも一日一口くらいのおにぎりしか食べられなくなって痩せていく。
そんな彼女がある日、彼女自身消極的だが、行ってもいいかなと思う場所に出るようになった。
そこの場所は何人かの人間がいるのだが、勉強とか、集団活動とか、今まで押しつけられてきたことには、本人の「気」が動き出すまで基本的には待つ。
そこは、彼女自身の存在が認められる場所であった。
彼女は周囲から一方的には挨拶などの呼びかけはあったにしても、自分からは返すことはせずに、ほぼ同じ場所から周りを見るだけで何もしない日々が続いていく。
しかし、不思議なことに次第に食事の量が増えだしてきた。
人間は生命維持のため本能的に「呼びかけ-呼びかけられる」生き物であるとある学者が言っている。
彼女は何に応えていたのだろうか。彼女の中で何が変化していったのだろうか。
人間で疲れた彼女が人間の中で回復する手立てを見つめている。