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受注残があるから安心、ではない|建設会社が「今期の利益着地」を読むための考え方

石田雄二

石田雄二

テーマ:建設業経営

建設会社の経営者から、

「今期は仕事が取れているので大丈夫です」

「受注残は十分あります」

という話を聞くことがあります。

もちろん、受注残が確保されていることは重要です。

しかし、経営管理という観点では、受注残の金額だけを見ても、今期の利益がいくらになるのかは分かりません。

重要なのは、

受注残 → 完成予定・工事進捗 → 今期売上 → 今期粗利 → 利益着地

という流れで見ることです。

受注残1億円=今期売上1億円ではない

例えば、12月決算の会社が9月末時点で1億円の受注残を持っていたとします。

一見すると、十分な仕事を確保しているように見えます。

しかし、その内訳が、

A工事 3,000万円 11月完成予定
B工事 4,000万円 翌年2月完成予定
C工事 3,000万円 翌年6月完成予定

だったらどうでしょうか。

A工事は予定どおり進めば今期の業績に反映されるでしょう。

一方、B工事、C工事については、会社の売上計上基準や工事の進捗状況などを確認する必要があります。

少なくとも、

「受注残が1億円あるから、今期も1億円の売上がある」

とは考えられません。

受注残を見るときには、金額だけでなく、**その売上や粗利がいつ実現するのかという「時間軸」**が必要です。

「確保粗利」のうち、今期に実現するのはいくらか

私は建設会社の粗利を考える際、

実現粗利・確保粗利・未確保粗利

という3つに分けて考えています。

実現粗利は、すでに売上計上され、それに対応する原価を差し引いて実現した粗利。

確保粗利は、受注済み工事から今後見込まれる粗利。

未確保粗利は、目標達成には必要であるものの、まだ受注できていない粗利です。

ただし、確保粗利が1,800万円あるからといって、その全額が今期に実現するとは限りません。

そこで、

「確保粗利のうち、今期に実現すると見込まれる粗利はいくらなのか」

まで確認します。

例えば、9月までの実現粗利が5,000万円。

受注済み工事を確認した結果、10月から12月までに実現すると見込まれる粗利が1,000万円だったとします。

すると、

実現粗利5,000万円+今期実現見込粗利1,000万円=粗利着地見込6,000万円

という予測ができます。

さらに、今期の人件費やその他の固定費などが5,500万円になる見込みなら、

粗利着地見込6,000万円-人件費・その他固定費5,500万円=利益着地見込500万円

というところまで見えてきます。

もちろん、工事原価の増加、追加工事、工期変更などによって数字は変わります。

大切なのは予測を完全に当てることではありません。

決算が終わってから利益を知るのではなく、決算前に「このままいけばどうなるか」を把握することです。

試算表と工事情報をつなげる

月次試算表を見れば、これまでの売上や利益を確認できます。

しかし、社長が経営判断をするために知りたいのは、過去だけではありません。

「このままいけば、決算はどうなるのか」

という未来の数字も重要です。

そのためには試算表だけでなく、

工事台帳、受注残、完成予定、工事進捗、見込原価、見込粗利

といった情報を組み合わせる必要があります。

試算表で現在までを確認する。

そして、

工事情報から、その先を予測する。

この二つをつなぐことで、今期の利益着地が見えてきます。

「必要粗利」と「着地粗利」の差を見る

ここからが、私が提唱している「Gリバース」の考え方につながります。

Gリバースでは、まず3年後にどんな会社にしたいのかを考えます。

そこから、

3年後の組織
↓
必要人員・人件費
↓
固定費
↓
必要利益
↓
必要粗利
↓
必要売上・受注

と、未来から現在へ逆算します。

一方で、現在の受注残や工事進捗から、

「このままいけば今期の粗利はいくらになるのか」

を予測します。

つまり、

未来から逆算した「必要粗利」

と、

現在の工事から予測した「着地粗利」

を比べるわけです。

例えば、今年必要な粗利が7,000万円なのに、現在の受注・工事状況から予測した着地粗利が6,000万円なら、1,000万円の差があります。

この、

必要粗利7,000万円-着地粗利6,000万円=1,000万円

というギャップをどう埋めるのか。

追加でどれだけ受注するのか。

既存工事の採算を改善できないか。

今期に対応するのか、来期につなげるのか。

ここまで具体化して初めて、経営計画が日々の経営判断につながります。

過去を見るだけでなく、未来を読む経営へ

建設会社では、工事台帳や受注残一覧を作成している会社も多いと思います。

しかし、帳票を作ること自体が目的ではありません。

大切なのは、その情報を使って、

「今期はどこに着地するのか」

を読むことです。

3年後から現在へ逆算する。

同時に、現在の受注・工事から近い未来を予測する。

そして両者の差を確認し、今やるべきことを決める。

私は、こうした経営管理が建設会社にとって非常に重要だと考えています。

そして、利益の着地点が見えてくると、次に確認しなければならない問題があります。

「利益が出る予定なのに、なぜ会社のお金が足りなくなることがあるのか」

という問題です。

建設業では、利益と実際のお金の動くタイミングが一致しないことがあります。

次回は、工事の利益と資金の動きの違いについて解説します。

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石田雄二
専門家

石田雄二(税理士)

石田雄二税理士事務所

単に安いだけでなく、創業後の会社の管理体制構築までサポートします。また、税理士だけでなく、社労士も在籍しているため、助成金の獲得支援を強みとしている点も好評です。

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