【10年後の日本経済。AIで日本は復活する:冨山和彦氏】
中国経済の急速な成長やデジタル技術の発展が注目される一方で、その足元では人々の暮らしを揺るがす深刻な構造問題が浮き彫りになっています。
ドキュメンタリー取材が明かした「未完成マンション(爛尾楼)」「過去最悪の若者失業率」「変容する農民工の実態」から、現在の中国のリアルな姿を紐解きます。
https://youtu.be/HJC-lqGZCQo?si=5KHVs3gbXXH-RndD
1. 街に放置される「爛尾楼(腐った物件)」と住宅ローンの悲劇
中国の不動産バブル崩壊を象徴するのが、建設途中で工事がストップし野ざらしにされた未完成マンション「爛尾楼(ランウェイロー)」です。
巨大不動産開発大手の中国恒大集団が約33兆円もの巨額負債を抱えてデフォルト(債務不履行)に陥ったことを切り札に、業界全体で信用不安が連鎖しました。
東京の3倍以上の広さ: 全国で放置されている未完成物件の総面積は7,400km²(東京都の面積の3倍以上)に達すると試算されています。
「住めないのに返済」の矛盾: 中国ではマンションの完成前から住宅ローンの返済が始まるのが一般的です。建物が完成せず入居の目処も立たないのにローンだけを払い続けなければならない理不尽から、全国で住宅ローン返済拒否の抗議運動が広がりました。
過酷な避難生活: 資金難で電気も水道も通っていないコンクリート剥き出しの部屋に自ら壁を塗り、懐中電灯を頼りに生活する家族や、完成予定だったエントランスにベッドや調理器具を持ち込んで暮らす購入者たちの姿があります。
自治体や業者からは、工事再開のためにさらに数百万円の追加支払いを求められるなど、重い負担がのしかかっています。
2. 若者の失業率21.3%——超・高学歴社会を襲う就職難
かつてない厳しさに直面しているのが中国の若者たちです。
過去最悪の失業率と史上最多の卒業生: 若者(16〜24歳)の失業率は過去最悪の21.3%を記録しました。
一方で、大学入学試験(ガオコー)の受験者数は2024年に過去最多の1,342万人に達し、超競争社会の中で大量の大学卒業生が世に送り出されていますが、受け皿となる雇用が追いついていません。
塾規制(双減政策)による衝撃: 政府が教育費負担を減らして少子化を食い止めようと「中国版ゆとり教育」を掲げ、学習塾の非営利化や営業規制(双減政策)を断行した結果、教育産業が壊滅状態となり、約1,000万人規模の失業者が生まれました。
「神頼み」と「公務員試験」への殺到: 就職難に追い詰められた20代の若者たちが一筋の望みをかけて寺院に殺到し、「就職祈願ブーム」が起きています。
また、民間企業の不安定さから極端な「安定志向」が強まり、公務員試験の倍率が100倍を超え、地方の郵便局員1人の採用枠に全国から2万人が殺到(倍率2万倍)する事態まで発生しています。
3. 「建設現場」から「スマホ画面の裏側」へ——農民工(出稼ぎ労働者)の苦闘
中国の目覚ましい発展を陰で支えてきた農民工(地方からの出稼ぎ労働者)の働く現場にも大きな構造変化が起きています。
サービス業へのシフト: かつて農民工の主たる職場だった建設現場や工場などの肉体労働は、この10年で約2,000万人分減少しました。
その受け皿となっているのが、都市部のインフラとなった「宅配ライダー(フードデリバリー)」です。
AI管理と過酷な労働: 700万人規模に上る宅配ライダーの約8割を農民工が占めています。
アプリのAIが位置情報をリアルタイム管理し最短ルートを指示しますが、指定時間に遅れると罰金が科されるため、逆走や危険走行を余儀なくされる厳しい労働環境に置かれています。
都市と地方の格差: 北京で朝から夜まで11時間働き、月20万円ほどを稼ぐ若い農民工も、自身は風呂やトイレのない月額1万円の劣悪な相部屋アパートで耐え、稼ぎのほとんどを故郷の妻や子供に仕送りしています。
結び
煌びやかな高層ビル群や利便性の高いデジタルサービスの裏側には、住宅ローンに苦しむ不動産被害者、出口の見えない就職難に悩む若者、そして都市を支えながら厳しい生活に耐える農民工の存在があります。
制度の転換や社会の歪みの中で、懸命に生き抜こうとする人々の姿こそが、現代中国の隠されたリアルと言えます。


