赤本が無い!!過去問を入手するあらゆる手段を尽くせ!!
先日、保護者さんから聞いたうわさ話をご紹介します。
「名工大の一般試験は問題の出し方が特殊。受かると思ってた先輩たち落ちてるから広島大学にしろ。」
とある県内のトップ進学校。クラス担任との面談でこのように提案され志望校を変更し、広島大学に無事合格したそうです。
私個人としてはあまり納得のいかない進路指導をされたなあと思い、私なりの分析と私見をまとめておきます。
【分析】受験情報 名古屋工業大学
▼名古屋工業大学 入試情報
https://www.nitech.ac.jp/examination/gakubu/lastyear_request.html
▼一般入試 前期の入試科目・配点
- 共通テスト 6教科8科目 450点
- 2次試験 数学III400点 物理or化学400点 英語200点 合計1000点
- 合計 1450点満点
- 共テ:2次比率 3:7
- 共テボーダー 71-73%
- 偏差値 55.0-57.5
*旺文社 パスナビ掲載の情報を引用しています
https://passnavi.obunsha.co.jp/univ/0510/subject/
2次配点が高いことが特徴。数学・理科が得意な学生なら、共通テストで失敗しボーダー-80点程度のビハインドがあっても合格をする学生は存在します。
また、2次試験の問題は出題傾向が一貫しています。出題にくせがある分、過去問演習がかなり有効だと考えます。25年ぐらいやり込めば他者と差がつきます。
英語は国立2次として比較的易しく記号解答が中心。得意なこと苦手な子であまり差がつかないと推測します。
一方で、数学や理科はしっかりとした難易度。正確な計算力、難問を粘り強く論証できる力、場合によっては高校内容ではほぼ見かけない初見のテーマを扱った出題でも解答できる力が必要です。
【分析】受験情報 広島大学 工学部
▼広島大学 工学部 入試情報
https://www.hiroshima-u.ac.jp/eng4/entrance/admission
▼一般入試 前期の入試科目・配点
*学類により様々ですが、第二類 電気・電子 を例示とします
- 共通テスト 6教科8科目 傾斜・圧縮なし1000点
- 2次試験 数学III500点 物理or化学500点 英語500点 合計1500点
- 合計 2500点満点
- 共テ:2次比率 4:6
- 共テボーダー 67-70%
- 偏差値 50.0-52.5
*旺文社 パスナビ掲載の情報を引用しています
https://passnavi.obunsha.co.jp/univ/0720/subject/?facultyID=050
共通テストが無圧縮1000点。そのため苦手を作らず均等に得点が取れる受験生はチャンスが大きいと考えます。
一方で2次配点が高いことが特徴。共通テストがうまくいかなかった場合でも、数学・理科が得意な学生なら、模試でE判定でも合格をする学生は存在します。
英語 難易度高い。300字程度の英文要約、学術論文をベースにした英語長文問題、100字程度の自由英作文など、共通テストとは全く異なる英語能力を試される。英語が苦手な受験生だと全く刃が立たない可能性がある。はっきりと差がつく試験です。
数学・理科はかなり重い計算を課される。計算ミスが多かったり、日頃から青チャートなどによる問題演習が不足したりすると、大きな失点をする要因になる。出題の中にはかなりの難題が含まれる場合があり、最後まで解ききれない問題がいくつも出るかもしれない。部分点を積み重ねて合格点を超える訓練が重要。
名工大→広島大 ランク下げとして機能するか
偏差値だけで比較すれば、広島大学のほうが手頃。しかし、共通テストで失敗しても逆転が可能なのは名工大。
私なら、理科・数学が得意な受験生こそ名古屋工業大学へ。記述式の英語が十分にでき、重たい計算問題への対応力があるなら広島大学でも良いと考えます。
この2校では入試の特性が異なります。安定の広島大と一発逆転の名古屋工業大学だと考えます。一概に広島大学のほうが易しくチャンスが有るとは限らないと考えます。
名古屋工業大学が厳しいと判断するなら、試験科目が全く同じで、各科目配点もほほ同じ、2次配点の大きい「岐阜大学工学部」を提案します。岐阜大学にも名古屋工業大学と同じ学科が設置されているはずです。
*旺文社パスナビ 岐阜大学 工学部
https://passnavi.obunsha.co.jp/univ/0460/subject/?facultyID=020
【加藤の結論】偏差値だけ難易を判断しない
以上のように「偏差値」とは、受験大学の入試方式や、受験年度のトレンド、大学側の都合でも上下します。
「偏差値が下だから志望校ランクを下げる」の判断は必ずしも正しいとは言えません。
まして、偏差値は大学の序列を示す数値ではありません。偏差値だけで大学の優劣を決めつけてしまうことは偏見以外の何物でもないと考えます。
保護者の皆さんによく覚えておいて頂きたいことがあります。今や、一般入試で合格をもらい入学を決めることだけが、大学受験ではなくなりました。私立大学の内部進学や指定校推薦だけでなく、国公立大学も、総合型選抜や学校推薦型の募集定員を増やし一般枠を減らしています。
私は、学力に見合った「受かりそうな大学」を見つけるのではなく、「どうしても行きたい大学」を見つけて欲しい。そして、その志望大学
で以下に自己実現ができるかを常に考えてほしいと願っています。このような意識を持った受験生は、入学後に充実した学びができる大学生になってくれます。