企業に求める教育力
「毎日暑くて、昼間に外で仕事をするのはえらいですね。」・・・私は、日常会話でこんな言葉を使っています。
「えらい?」と思われる方も多いと思います。
岐阜弁丸出しの私が使っている方言です。
えらい・・・・辛い、苦しい、大変 という意味で使います。
いろいろな方言があります。方言は、それぞれの地域の味が出てよいところもありますが、他地域の方と会話をする上で障害となることもあります。
共通語を使えば、会話に障害がなく、理解されやすいと思います。
でも、本当に共通語を使えばよいかと言えば、そうではないかもしれません。
例えば、「山」という言葉を考えてみましょう。
話し手が、「昨日、山に登ったよ。」と話したとしても、聞き手が受け取った山は、話し手と異なります。
日本人の多くは、「山」と言えば、富士山を思い浮かべるようです。しかし、岐阜市で育った私は、「山」と言えば、金華山(「麒麟がくる」で一躍有名になった斉藤道三、織田信長のお城があった稲葉山)です。同感される方もいらっしゃると思います。
話し手が、登った山について話を進めていく中で、どんな山なのかがはっきりします。
つまり、聞き手は自分が描いたイメージを頼りに話を聞いているということになります。
日常会話は、まさにこれです。
聞き手は、話し手の言葉を聞いてすぐに正確に理解するのではなく、始めは、自分の体験経験から得た言葉をイメージします。そして、多くの情報を話し手から得ながら、自分が描いたイメージを修正し、話す内容に近づけていきます。(もちろん、相手を理解しようとする信頼関係が前提になります。)
そのため、言ったことが正確に伝わっているかどうか、確認することなく会話を進めていくと、大きな誤解を生むことがあります。
「何度、言ったらわかるの?」とお子さんを叱るお母さんに出会うことがあります。
これは、「言った事が、正確に伝わっている」ことを前提にした話です。
まず、言った事が正確に理解されているのか確認しなければ、何度言っても伝わりません。
子どもの語彙力と体験を多く積んだ私たち大人とは全く言葉の理解が違います。
また、大人同士でも、個々の体験が異なり、言葉を習得する過程も全くことなり、同じ言葉でも全く言葉の理解が違います。
もしかすると、子どもは、親の言葉を方言のように聞いているのかもしれません。
共通の言葉を使っている大人同士でも、共通の言葉を使うために同じ理解をしていると錯覚してしまいますが、実は方言を聞いていると考えた方がよいかもしれません。
いずれにしても、話し手が、理解を得るための詳しい説明をしなければ、話し手の伝えたい内容は、理解されないと考えた方がよいでしょう。
そのため、誤解を招いたときには、まず、自分が発した言葉に理解を得るための丁寧な説明をしたかどうかを振り返ることが大切になります。
このことからわかるように、子育ては、にコミュニケーションについて自分を成長させてくれるチャンスにもなります。
聞き手である子どもに伝える言葉が、正確に伝わっているか確認しているでしょうか?
ー 確認の仕方 ―
・お子さんに「話してごらん。」と同じ言葉で話せるか言葉で確認する。
・話した通りの行動になっているか、お子さんの行動で確認する。
※抽象度の高い言葉ほど、具体的な行動にばらつきがでます。
「綺麗にしなさい。」→どこを?どうやって?が異なる
確認し、不十分だからと言って叱ることではありません。伝わっていないのですから、至らないところを丁寧に補足説明するしかありません。
また、「今すぐ理解しなければだめだ。」となれば、感情が高まってしまいます。焦らずに落ち着いて対応するために、お子さんの理解のスピードに合わせましょう。あなたのペースに合わないからと、あなたのペースに合わせないお子さんが悪いと責めているとストレスがたまってしまいます。
(お子さんのスピードに合わせることにストレスを感じる方は、お子さんの問題ではなく、あなた自身の価値観の問題になります。お子さんだけでなく、他人に対しても同じようにストレスを感じるはずです。)
さて、何度言ったら、お子さんは、あなたの話を分かってくれるのでしょう?