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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

体脂肪量が多いとやはり危険?

2018年7月17日

テーマ:内臓脂肪の悪弊

コラムカテゴリ:医療・病院

体脂肪量が多いとやはり危険?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の砂糖です。今朝は‘体脂肪量が多いとやはり危険?’という報告です。

 身体組成は直接的な評価が困難であるため、大規模な疫学研究では身体組成と死亡との関連は明らかにされていない。米国・ハーバード大学院の研究者らは、体格指数(BMI)と死亡との関連は、除脂肪量および脂肪量という2つの身体組成と死亡との関係によって規定されることを示した。

 研究グループは、米国の男性における除脂肪体重、脂肪量、BMIと、全死因死亡および原因別死亡との関連を評価する研究を行った。解析では、推定脂肪量と全死因死亡の間に正の相関が示された。推定脂肪量の値が最も低い5分の1の集団と比較して、最も高い5分の1の集団の全死因死亡の危険率は1.35倍であった。

 これに対し、推定除脂肪体重と全死因死亡には、U字型の関連が認められた。推定除脂肪体重の値が最も低い5分の1の集団と比較して、5つの集団のうち2~4番目の集団は全死因死亡のリスクが8~10%低かった。全死因死亡のリスクは推定脂肪量が21kgまでは横ばいで推移し、その後急激に上昇した。また、推定除脂肪体重は、56kgまでは全死因死亡のリスクが大幅に低下し、その後は上昇した。

 原因別死亡率については、推定脂肪量の値が最も高い5分の1の集団では、心血管死の危険率が1.67倍、がん死の危険率は1.24倍であり、呼吸器疾患死の危険率は1.26倍だった。一方、推定除脂肪体重と、心血管死およびがん死の間には、U字型の関連が認められたが、推定除脂肪体重と呼吸器疾患死には強い逆相関の関係がみられた。

 著者は、「推定体脂肪量は死亡と強く単調な正の相関を示したのに対し、推定除脂肪体重は死亡と強力なU字型の相関を示した」とまとめ、「肥満パラドックスの議論は、低BMIの範囲では、低脂肪量よりもむしろ低除脂肪体重によって説明可能な部分が多いと考えられる」と指摘している。

 健康な肥満はないと言われてはいますが、今回もそれが実証された様です。やはり、脂肪量を含めた体重増加にはしっかり気をつける必要がありそうですね。

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