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ピロリ菌が動脈硬化にも影響?

佐藤浩明

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おはようございます。さとうクリニックの佐藤です。今朝は「ピロリ菌が動脈硬化にも影響?」という報告です。
 Helicobacter pylori(H. pylori)感染は胃粘膜の慢性的な炎症を持続させるだけでなく、脂質代謝にも影響する可能性が示唆されているが、一定の見解が得られていない。亀田総合病院と東京大学の研究者は脂質関連値と胃粘膜の状態、H. pyloriとの関連について検討し、胃粘膜の異常が脂質代謝に影響を及ぼす可能性を報告した。対象はH. pylori抗体価測定とペプシノゲン判定による胃がんリスク検診を受診した2010年の人間ドック受診者のうち、H. pylori除菌経験者、脂質異常症治療薬服薬者、脳血管および心血管疾患既往歴のある者を除外した5,917例(H. pylori陽性1,489例、陰性4,428例)。脂質関連値とH. pylori感染による胃粘膜萎縮、肥厚やH. pylori抗体価との関連について検討した。胃粘膜の萎縮と肥厚の評価は胃X線で行った。
 その結果、HDL-Cは萎縮の程度が進むにつれて減少し、LDL-Cは軽度・中等度の萎縮で有意に減少するなど、全ての脂質関連値において胃粘膜萎縮、肥厚の程度、H. pylori抗体価と関連する傾向が示された。

 また、LDL-C、non- HDL-C、HDL-C、LDL-C / HDL-C比では全ての胃粘膜の状態との有意な関連が認められたが、トリグリセライドでは有意な関連が認められなかった。脂質代謝に与える影響は、高度の萎縮、抗体価高値、軽度の肥厚で大きかった。

 以上から、「脂質関連値に胃粘膜の状態に比例した有意な増加または減少傾向が見られ、胃粘膜の異常が脂質代謝に影響を及ぼす可能性が示唆された。この解析結果は加齢による影響を考慮し、その影響を調整した結果であり、胃粘膜の状態が有意に関連していると考えられた。また、H. pylori除菌後にはHDL-Cが25%有意に増加したことが報告されており、胃粘膜の萎縮は、ほぼH. pylori感染によって惹起されることから、H. pylori除菌により動脈硬化性疾患発症リスクを低減する可能性が示唆された」とまとめた。

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佐藤浩明
専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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