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おはようございます。さとうクリニックの佐藤です。今朝は「認知症薬はどの程度有用なのか?」という報告です。
認知症は治癒が望めない疾患であり、治癒または回復に向かわせる治療法は存在しない。現在の治療は、認知または機能的アウトカムの改善を目的としたものである。米国・ブラウン大学の研究者らは、認知症および軽度認知障害(MCI)の治療に関する研究をレビューし、治療のベネフィットとリスクを評価した。その結果、コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)によるベネフィットは小さく、経過とともに効果が減弱すること、用量依存的に有害事象が増加することを報告した。
主な結果は以下のとおり。
・試験の併合データにより、軽度から中等度のアルツハイマー病とレビー小体型認知症において、ChEIは認知、機能、および全般的ベネフィットをやや改善することが示された。ただし、これらの効果における臨床的意義は明らかでない。
・血管性認知症に対する、有意なベネフィットは認められていないことが判明した。
・ ChEIは、治療開始1年後に有効性のベネフィットが最小となり、経過に伴い減弱すると思われた。
・進行例あるいは85歳以上の患者にベネフィットを示したエビデンスはなかった。
・有害事象は、ChEIの使用により用量依存的に有意に増加した。コリン作動性刺激に関連して消化器系、神経系および心血管系の副作用に対するリスクは2~5倍となり、重大な副作用として体重減少、衰弱、失神などが認められた。
・85歳を超えた患者の有害事象リスクは若年患者の2倍であった。
結果を踏まえ、著者らは「ChEIは軽度から中等度の認知症に対し、短期的に、わずかな認知機能の改善をもたらすが、これは臨床的に意味のある効果とはいえない。重症例、長期治療患者、高齢者においては、わずかなベネフィットしか認められず、とくに虚弱な高齢患者において弊害をもたらし、治療によるリスクがベネフィットを上回る結果となっている。