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オバマ大統領の医学論文!

佐藤浩明

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2008年にバラク・オバマ氏がアメリカ大統領に就任してから、8年が経過した。任期終盤のアメリカ大統領が、JAMA(The Journal of the American Medical Association)に論文を投稿することから、オバマ氏の医療への関心の高さがわかる。大統領が、積極的に自分の考えを科学的論文に投稿する米国の文化は、学ぶべきである。高齢化の進行、医療関連産業の際立った利益重視などは、米国だけの問題ではない。日本でも将来の医療制度の転換を見越した議論は、政府内で行われているはずである。政策を政府が非公開で決めるか、政策の骨子を公開の議論で決めるかが、日本と米国の文化の差である。
 オバマ氏の大きな功績として、2010年にThe Affordable Care Actを成立させたことが挙げられる。Medicare、Medicaidの活用範囲の拡大により、無保険者が大幅に減少した。医療システム改革により、米国の病院を退院した症例の30日以内の再入院率が低下し、入院医療の質が改善したと論文に記載されている。それでも、米国医療経済の基本は、民間保険会社が医療保険であることは、戦後日本が当時の厚生省と日本医師会の激しい議論の中で確立させた「国民皆保険制度」とは根本的に異なることを理解すべきである。
 これまで日本が築いてきたフリーアクセスによる患者の自由な医師の選択、医師の自由な診療と、ガイドラインに基づいた医療のみが可能な米国のシステムの差異を十分に理解する必要がある。日本は医療が仁術として出発しているが、米国の医療はビジネスである。保険会社がとりでにならなければ、医療費が著しく増加するのが米国医療である。ガイドライン医療の問題点を把握しているオバマ大統領は、「個別化医療」を目指したPrecision Medicineの論理を求めている。「2025年問題」など、日本の医療にも将来の不安はある。総理大臣、担当省庁が将来の医療政策の骨子を学問的論文として発表し、皆で解決策を話し合わなければならない日は遠くないかもしれない。大きな問題であっても、結局は公開して皆で情報を共有するほうが良いことを、われわれは大東亜戦争におけるミッドウェー島の悲劇などで学んだはずである。戦後70年経過しても、発想のうえで米国は世界のthought leaderである。

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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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