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おはようございます。さとうクリニックの佐藤です。今朝は「携帯電話で脳腫瘍はホント??」という報告です。
ラットの研究で携帯電話と腫瘍の関連が示されたことが報告されているが、米国立衛生研究所(NIH)の専門家らは、この研究の妥当性に疑問を呈している。米国国家毒性プログラム(NTP)が公表した研究結果によると、携帯電話で使われているものと同種の電波に曝露した雄のラットに、2種類の腫瘍(脳の神経膠腫および心臓の良性神経鞘腫)が“低い確率”で発生したという。この研究は2500万ドル規模で、携帯電話の健康への影響を評価した研究としては最も大規模かつ包括的だという。「世界のモバイル通信の利用状況を考えれば、発症率がわずかに上昇するだけでも広範囲に影響が及びうる」と、NTPは述べている。
しかし、AP通信によると、NIHの専門家らはこの研究に欠陥があると指摘している。たとえば、今回の研究では妊娠中から生後2年まで、極めて高線量の電波にラットを曝露しているが、それでも腫瘍が発生したのは雄ラットの2~3%のみだった。雌ラットに全く腫瘍が発生していないことや、電波に曝露したラットよりも曝露しなかったラットのほうが死亡率が高かったことも奇妙だという。さらに、電波に曝露しなかったラットでは、「正常」集団で予測されるのと同等比率での腫瘍発症は認められていない。
NIHは、「これまでの大規模研究で収集されたヒトの観察データをみると、携帯電話の使用によりがんの発症リスクが上昇することを示すエビデンスはわずかである。多くの研究では、携帯電話と有害な健康被害の関連は示されていない」と指摘する。たとえば、最近発表されたオーストラリアの研究では、約30年前の携帯電話の出現以来、脳腫瘍の罹患率は全く増えていないことが示されている。一方で、NTPのプロジェクトに関わっていたある専門家は、「全くリスクがないわけではないと主張した点で、この知見には価値がある」と話す。