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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

悪玉炭水化物で乳がんや前立腺がんの可能性?

2016年5月2日

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

おはようございます。さとうクリニックの佐藤です。今朝は「悪玉炭水化物で乳がんや前立腺がんの可能性?」という報告です。
 加工された炭水化物や砂糖入りの飲料を多く摂取する人は、乳がんや前立腺がんのリスクが高いことが新たな研究で示され、米サンディエゴで開催された米国栄養学会で発表されました。
 この知見は「悪玉」炭水化物ががんを引き起こすと証明するものではなく、また、学会発表された結果は医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。しかし、これまでも専門家は、加工炭水化物や加糖飲料の摂取を制限して果物や野菜、豆類、全粒粉、「善玉」不飽和脂肪酸を食べるように助言しており、今回の結果はその信憑性を高めるものだと、研究を率いた米ニューヨーク大学栄養学の研究者は話している。
 一方、米国がん協会の研究者は、「炭水化物の質が(肥満とは独立して)がんリスクに影響するのかという問題は重要ではあるが、その答えを出すのは容易ではない」と指摘している。今回の研究では、約3,200人弱の米国成人の食習慣とがんの罹患率を20年以上追跡した。期間中に565人ががんと診断された。解析の結果、一見、炭水化物の摂取量が多いほど乳がんリスクは低くなるように思われたが、炭水化物の質を考慮すると、野菜、果物、全粒穀類、豆類などの健康的な炭水化物を中心に食べている女性は、精製炭水化物を好む女性に比べて、乳がんリスクが67%低かった。また、加糖飲料を定期的に飲む男性は、全く飲まない男性に比べて、前立腺がんリスクが3倍以上であった。これは加糖飲料が直接的に前立腺がんに寄与していることを裏づける結果ではないが、肥満や2型糖尿病リスクとの関連が示されていることも摂取を控える理由になると別の研究者は述べている。
 特定の食品自体ががんの原因となるのか、それともカロリー摂取量と体重の増加が問題なのかを明らかにすることは難しいと別の研究者は話しているが、加工食品よりも素材のままの「質の高い」食品を選択するほうが健康によいのは確かだと、同氏はコメントしている。

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