暑い時の水分補給には何が良いのか?
たった一晩徹夜するだけで脳は「脂肪を多く摂るように」という欲求に拍車をかける―。こんな研究結果が、米ペンシルベニア大学医学部の研究者らから報告された。「睡眠不足後の局所的脳機能の変化と実際の食物摂取との関連を初めて明らかにした結果だ。たった一晩の睡眠不足が脳内の“顕著性ネットワーク”機能を変化させることが明らかになった」と同研究者。顕著性ネットワークとは、意思決定を導くと考えられる脳内の経路だ。3つのセクションのすべてが脳の前頭葉に位置し、共同して情動、知覚、精神的戦略化の発現および解釈に関わっているという。
今回の結果では睡眠障害群は、徹夜した晩に約950 kcalを余分に摂取していたことが分かった。徹夜したあとの日中の摂取カロリーは、正常に睡眠を取ったあとの日中の摂取カロリーとほぼ同じだった。しかし、摂取カロリーを成分別に分析すると、睡眠障害群では徹夜後、正常に睡眠したあとに比べ脂肪摂取量が大幅に多く、炭水化物の摂取量が少ないことが明らかになった。睡眠障害群の脳MRI像には、セイリアンス・ネットワーク機能の大きな活性も認められた。同氏らは、軍隊やトラック運転手、医療従事者など、覚醒状態を強制される人では脳活動のシフトのために非健康的な食物選択をする可能性があると結論。
本研究では一晩の睡眠喪失についてしか検討していない限界があるとしながらも、「長期的な睡眠不足も脳に同様な影響を与えうる。適切な睡眠が健康的体重と健康的食生活の維持において重要な戦略となる可能性がある」と、述べている。この結果について、英サリー大学サリー睡眠研究センターの研究者は、「睡眠不足と食物摂取の変化に関わる脳のメカニズム解明のヒントとなるものだ」と述べている。