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お米で花粉症治療?

佐藤浩明

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毎日お米を食べて花粉症が治療できる,そんな日が近い将来訪れるという。角膜カンファランス2015のシンポジウム「眼からウロコの前眼部疾患新常識」で高知大学の研究者は遺伝子組換え技術でスギ花粉症の抗 原を発現させた米を食べさせたマウスで花粉症による臨床症状が抑制されたことを発表し,「近い将来,お米を食べて花粉症を治療する日が来る」と展望した。
 現在アレルギー性結膜炎の治療は,抗原回避と抗アレルギー点眼薬による対症療法が主体である。唯一の根治療法である抗原特異的免疫療法は,当初は抗原を繰り返し皮下注射する方法から始まり,現在では主に耳鼻科で舌下免疫療法が行われている。同療法は,痛みがなく,簡便に自宅で行え,小児にも適用され,重篤な副反応が少ないが,2~3年間毎日舌下にエキスを滴下しなくてはいけない。海外では多数が脱落し,効果も根治が4割,症状改善が4割程度と報告されている。理想的な免疫療法は,簡便に短期間で効果を発現させ,副反応を起こさないもの。それには,副作用を起こさないように改良した大量の抗原が,毎日経口摂取するものに含まれていると理想的である。
 農業生物資源研究所は,スギ花粉の抗原を米に発現させた遺伝子組換え(Tg)米を開発した。遺伝子組換え技術により高濃度の抗原を米に発現させることが可能になり,米はもともと食物であるため毒性もなく,加工の必要もなく,何年間も腐ることもない。さらに抗原を米のプロテインボディーに発現させることで,胃酸で分解されにくくした。したがって,Tg米に発現させることで,効率的に腸管に運ぶことが可能になった。さらに同氏はスギ花粉症治療米を用いてアレルギー性結膜炎の治療に効果があるか検討した。その結果,Tg米を与えたマウスでは有意に臨床症状を抑制し,結膜への好酸球浸潤も抑制された。以上から,花粉症治療米は花粉症を起こしていないマウスの花粉症を予防したといえる。
 同氏は「近い将来,お米を食べて花粉症を予防,治療することが可能になればいいと考えている」と展望した。

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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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