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反復性のClostridium difficile感染症(CDI)を来したBMI正常の32歳の女性が腸内細菌叢移植(FMT)を受けた後,体重とBMIが肥満域まで急激に増加した1例が報告されました。この女性のドナーは過体重以外に健康問題のない10歳代の娘。報告を行った研究者らは,治療によるCDI治癒などの要因も考えられるが,女性に肥満歴はなかったことから,FMTがレシピエントに与える長期的な影響を詳しく検討する必要があると述べている。
移植当時の2011年の女性の体重は61kg,BMIは26で安定。過去の肥満,過体重歴はなかった。FMTのドナーはこの女性の10歳代の娘で,過体重以外に健康に問題はなかった。移植から1年4カ月後,レシピエント女性の体重は77kg,BMIは33と肥満の診断基準に該当するまでに増加。その後,医療機関でのリキッドプロテインによる食事療法や運動プログラムの実施にもかかわらず,肥満は改善しなかった。移植後3年には女性の体重は80kg,BMIは34.5とさらに増加。現在も肥満は改善せず,便秘や原因不明の消化不良を合併していると報告されている。
共同著者は,今回の症例について「FMTによる“善玉菌”の一部が女性の代謝機構にネガティブな影響を与えたのではないか」と考察。肥満のマウスから正常体重のマウスへのFMTによる検討で腸内細菌叢と体重の関連を示唆する先行研究の報告もあることから,ヒトにおいてもFMTドナーを選定する際には健康状態だけでなく,過体重や肥満がないことを含めるのが望ましいとの見解を示している。