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風邪の際の食欲不振には訳がある?

佐藤浩明

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風邪などで体調を崩すと、たいていの人は食欲が落ちる。これは、食の探索行動に費やすエネルギーを節約して、体の防御力を保とうとするからだの生命維持的な反応と考えられる。しかし食べる量が減れば、からだ全体の健康を維持する上で重要な腸内細菌も栄養不足になってしまう。そんなとき腸の上皮細胞は、普段は作らない種類の糖を作り、腸内細菌を“餌付け”することで回復力を維持しているようだ。マウスに病原菌体の一部であるリポ多糖分子を与えると、食欲低下や体重減少といった感染症の症状が現れる。数時間後に腸内を調べると、小腸では通常見られ ない L- フコースという糖が認められた。L- フコースを 生み出す遺伝子「Fut2」を働かなくしたマウス(Fut2 欠 損マウス)ではこの糖が作られず、通常のマウスよりも体重の回復に時間がかかった。腸内細菌の遺伝子を調べると、通常のマウスではL-フコースの取り込みや代謝に働く遺伝子が活性化してい た。一方、F u t2 欠損マウスでは、リポ多糖分子の投与に よって病毒性を持つ成分の遺伝子が活性化しており、 腸内細菌の一部が病毒化していることが分かった。 Fut2 欠損マウスの体重の回復が遅れたのはそのためと 考えられる。通常のマウスは L- フコースを作り出すこ とで、腸内細菌の病毒化を防いでいるようだ。「Fut2遺伝子の機能不全は20%のヒトに見られ、クロ ーン病などと関連があることが知られている」と研究者 ら。この成果は、難病の治療につながる可能性もありそうだ(Nature. 2014 Oct 30;514(7524):638-41.)

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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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