暑い時の水分補給には何が良いのか?
日本国内でも一般に人気の一方,しばしば医療者の批判の的となるテレビの健康情報番組。医師が出演していると,その内容がより信頼できるもののように見えるが,実際はどうなのか。カナダの研究者らは,医師がホストとして出演する人気健康情報番組の内容を検証。番組が勧める健康情報のうち,エビデンスによる裏付けが確認されたのは半分程度だったとの報告が紹介された。同氏らは視聴者に対し,こうした番組の放映内容をうのみにしないよう呼びかけている。
今回検証の対象とされたのはThe Doctor Oz Show(Dr Oz)とThe Doctors(Doctors)。いずれも米国で制作され,国際配給されている人気番組だ。前者はUniversity of Colombiaの心臓外科教授が,後者は救命救急医の他,産婦人科医や小児科医,家庭医,性科学者ら6人の医師が日替わりでホストを務める。
同氏らによると,特にDr Ozで取り上げられる健康情報には,これまでにも医療者から疑問や批判の声が挙がっている。しかし,こうした番組で扱われる医学情報が全体的に適切かどうかは分かっていないとして今回の検討を実施した。
検討期間中の各番組で放映されていた推奨内容から計160件の推奨をランダムに抽出した。このうち,少なくとも1例報告,あるいは比較的質の高いエビデンスが見つかったのは全体の54%だった。医師たちがホストを務めるとはいえ,全ての推奨を本人たちが伝えているとは限らない実態も分かった。Dr OzではOz氏本人による推奨は26%に対し,ゲストによる推奨は65%に上っていた。Doctorsでは医師らによる推奨は65%に対し,ゲストによる推奨は33%だった。
しかし,その推奨によるベネフィットが明らかでなかったものは両番組内容の57.4~58.7%に上っていたと同氏らは指摘している。それによると「ビタミンEによる脳力アップがベネフィットと考えられる」との見方を示す一方,そのベネフィットが目に見える,あるいは測定可能なものなのかは検討されておらず,脳力の増加の程度についても触れられていなかったと説明している。同氏らは今回の検討から,健康情報番組で放映される推奨内容はベネフィットに関する適切な情報に欠けることが多いと結論。視聴者はこうした番組で流される健康情報をうのみにしないよう呼びかけている。