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コロンブスがヨーロッパに持ち帰ったもの?

佐藤浩明

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クリストファー・コロンブスとその一行がアメリカ大陸からヨーロッパへ梅毒を持ち込み、何百年にもわたる疾患と死の発端となったという仮説について、新たな研究により議論が激化している。ボスニアの研究グループが、クロアチア地域の古代の若い男性の骨から梅毒の徴候が示されたと報告した。このことは、コロンブスの時代よりもはるか昔に梅毒が存在したことを意味する可能性があるという。
 梅毒の起源については科学界で大きな議論の的になっており、主に3つの仮説がある。最も一般的な見解は、アメリカ大陸に梅毒が存在し、コロンブスの一行が帰還する際にヨーロッパに持ち込んだというもの。もう1つは、梅毒は以前からヨーロッパに存在しており、コロンブスの時代以降に特に目立つようになったとするものだが、その根拠を見つけることは難しいという。第3の仮説は、梅毒は旧世界にも新大陸にも存在しており、4つの異なる症候群が発達したというものだ。いずれにせよ、梅毒はコロンブスの航海の直後に急速に広まり、ヨーロッパに壊滅的な影響をもたらしており、その事実が、一行が梅毒を持ち帰ったと考えられる一因となっている。
 研究の筆頭著者であるクロアチア大学の研究者らによると、16世紀のはじめにはパリの住民の約3分の1が梅毒をもっていたという。「梅毒は初めての世界的疾患の1つであったため、どこからどのように広がったかを理解することは実に重要である。その起源がわかれば、現代の疾患との戦いにも役立つからだ」と同氏は話す。今回の研究では、ヨーロッパ南部のクロアチアで発掘された403体の人骨を調査した。骨は古くは先史時代からの、さまざまな時代のものであった。その結果、2~6世紀に生きていたと考えられる20代男性の骨に梅毒の徴候がみられた。分析結果から、骨に認められた徴候の原因は梅毒しか考えられないという(DNA検査は利用していない)。
 この知見に対し、米カンザス大学の研究者は、この人骨から示唆されるのは実は梅毒ではなく、一種の異常な骨増大であると指摘している。英ロンドン大学の研究者は、分子レベルのエビデンスで梅毒が北米起源であると示唆されていることを考えれば、「コロンブス以前の人骨1体の診断から梅毒の起源についてわかることはほとんどない」と述べている。

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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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