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中年期の糖尿病あるいは糖尿病前症によって、その後20年間の認知機能低下リスクが高まる可能性が、米ジョンズ・ホプキンス大学での研究から示唆された。米国立衛生研究所(NIH)の資金援助を受けて実施されたこの研究は、中年期の糖尿病が記憶および思考力の19%の低下と関連することを見出したが、その因果関係を明らかにしたものではない。
今回の研究はメリーランド、ミネソタ、ミシシッピー、ノースカロライナの4州で、1990~1992年に48~67歳だった1万3,000人以上を登録し、20年以上の追跡を行った。追跡中は3回、別々の機会に記憶および思考力を評価するテストを行い、別のさまざまな時点で糖尿病の有無や血糖値のデータも取得した。同研究者らによると、思考力や記憶力のテストは連続して行ったため、正確にどの指標の低下が血糖値と対応するのかの把握は困難だったが、平均すると60歳の糖尿病患者の認知機能は健康な65歳と同等であることが分かった。
また、糖尿病前症の人では正常血糖の人に比較し、記憶力および思考力の低下が大きいことも明らかになった。同じ糖尿病でも、HbA1Cが7%以上と管理不良な患者では、そうでない患者より認知機能の低下リスクが高かった。糖尿病罹病期間の長い人でも記憶力および思考力の低下が顕著だった。
糖尿病と認知機能がなぜ関連するのかは不明だが、同氏は、高血糖が血管に及ぼす一般的な影響が関連している可能性があると指摘。今回の知見は、糖尿病予防の必要性を裏付けるさらなる理由になるとして、過剰な体重を減らし、健康的な食事をして定期的な運動を行うことが2型糖尿病の予防につながるとしている。
この結果について、米アルツハイマー協会の他の研究者は「既存の知見と一致する内容だ。糖尿病患者は認知障害のリスクが高いが、すべての糖尿病患者で認知機能が大きく低下するわけではない」と述べている。