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腸内細菌と病気との、さまざまな関連が解き明かさ れる中、研究の関心はもう一つの大きなテーマに向き 始めた。それが「老化」だ。ヒトやマウスなどでの研究デ ータはまだないが、線虫やショウジョウバエといった ライフサイクルが短い実験生物では、腸内細菌と老化 の関連を示唆するデータが出始めている。 年を取った線虫では、餌として一緒に飼育される大 腸 菌「 O P 5 0 」が 腸 内 に 住 み つ く 場 合 が あ り 、 そ れ に よ っ て寿命が延びることが知られる。この現象の研究から、 大腸菌が産生した NO(一酸化窒素)を線虫が吸収して、 体内の寿命関連遺伝子に影響を及ぼすというメカニズ ムが明らかになった。
またこれとは別に、大腸菌が作る RNA 分子が線虫の遺伝子発現に影響して、寿命が延び ることも分かってきた。 ショウジョウバエではこんな研究もある。栄養不良 の状態で育てられたショウジョウバエは成長が遅れる が、腸内にLactobacillus plantarumという菌が住みつ いていると、比較的順調に育つ。この菌がハエのシグナ ル 伝 達 因 子「 T O R 」を 活 性 化 し 、栄 養 条 件 に か か わ ら ず 育つように仕向けるためという。TOR は、さまざまな 生物に存在する、寿命の制御と関連深い因子だ。 一般に、老化に伴い腸内細菌叢は変化する。腸内細菌 を操作して、老化の速度や寿命に影響を与えられるの か。今後の研究が待たれる(Cell. 2014 Jan 30;156(3): 408-11.)。
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