暑い時の水分補給には何が良いのか?
8億人が世界で心血管病に罹患しているが、1930年から1950年にかけて高所得国で心血管病が増加したのに対して、低所得国では増加率は低かった。1970年からは心血管死はリスクファクターの管理によって、いくつかの高所得国では減少している。今回、心血管リスクは、低所得国が最も低く高所得国が最も高いにもかかわらず、実際の心血管イベント発生率や致死率は、高所得国が最低で低所得国が最高であることが明らかになった。研究グループは、17ヵ国の都市部・農村部に住む合計15万人の、心血管リスクを評価した。調査対象とした17ヵ国のうち、高所得国は3ヵ国(カナダ、スウェーデン、アラブ首長国連邦)、中所得国は10ヵ国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア etc)、低所得国は4ヵ国(バングラデシュ、インド、パキスタン、ジンバブエ)だった。心血管疾患の発症と死亡について約4.1年追跡した。
その結果、リスクスコアの平均値が最も高かったのは高所得国で、最も低かったのは低所得国、中間が中所得国だった。一方、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全の主要心血管イベントの発生率についてみると、高所得国は3.99件/1,000人年で、中所得国の5.38件、低所得国の6.43件年に比べ、有意に低かった。致死率についても、高所得国は6.5%で、中所得国15.9%、低所得国17.3%に比べ有意に低率だった。都市部と農村部の比較では、都市部の住民のほうがリスクは高かったものの、心血管イベント発生率は、農村部6.25件/1,000人年に対し都市部が4.83件であり、致死率は17.25%に対し13.52%と、いずれも都市部で低率だった。また、抗血小板薬やβ遮断薬といった予防的な薬の服用率と血行再建術の実施率が、高所得国が中所得国や低所得国に比べ有意に高かった。日本も食生活の欧米化により冠危険因子は増加したが、医療制度の普及により平均寿命は戦後伸び続けている。医療制度の違いに加えて、教育の差による心血管疾患に対する認識があり、早期診断につながっているかもしれない。いずれにしても経済の安定化が医療の質にも不可欠という事である。
〒960-8163 福島市方木田字中屋敷1−1 さとうクリニック内科・消化器科 http://satoclinic.net