暑い時の水分補給には何が良いのか?
糖尿病患者の死因の第1位は悪性新生物であり,がん発症を念頭に置いた糖尿病診療が求められている。大阪市立総合医療センターの研究者は,2型糖尿病患者のがん発症危険因子として入眠障害が重要という知見をで明らかにした。入眠障害に関与するメラトニンとがん発症との関連を指摘する報告が相次ぐ中で注目された。
糖尿病患者でも加齢とともにがんの発症リスクは高まり,肝臓がん,膵臓がん,大腸直腸がんなどの発症リスクは有意に高くなるとの最近の知見は,糖尿病診療において血糖管理や合併症予防とともに,がんの発症を念頭に置くことの重要性を示唆するものといえる。
同氏は2型糖尿病患者359人に入眠障害の有無に関するアンケートを実施し,2年間のフォローアップ後に,新規がん発症例と非発症例の臨床データの比較を行った。なお,入眠に30分以上かかる人を入眠障害と定義したところ,117人(33%)が該当したという。2年間のフォローアップ期間に新規にがんと診断された患者は22人(6.1%)であり,部位別には膵臓5人,大腸直腸4人,肝臓・肺・前立腺各3人,胃・乳腺各2人となっていた。
新規がん発症例と非発症例の臨床データを比較すると,がん発症例では年齢が高齢で,糖尿病罹病歴が長くなっていた。また,入眠障害のあり/なしも,がん発症例の13例/9例に対して非発症例では101例/235例と有意差が確認された。がん発症の危険因子について解析したところ,入眠障害ありのみが危険因子として浮かび上がった。なお,入眠障害の有無で新規がんの累積発症率を検討した結果,入眠障害なしの群の3.1%に対して,入眠障害ありの群では9.8%となっていた。
同氏は「入眠障害に関与する物質として知られるメラトニンが,がん抑制に寄与するとの報告も見られる。2型糖尿病患者のがん発症の危険因子として入眠障害に着目することは重要と考える」と総括した。
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