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原発事故で甲状腺ガンは増えたのか?

佐藤浩明

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 東日本大震災による東京電力福島原発事故で大量の放射性物質が放出された。事故はチェルノブイリと同じレベル7に評価されたが、環境中に放出された放射性物質の量は7分の1程度、小児甲状腺がん発症の可能性は少ないと考えられている。しかし、住民の不安は解消されていない。
 日本癌治療学会学術集会にて、福島県立医科大学医学部の研究者は、福島県における小児甲状腺がん発症の現状調査の結果を紹介した。事故当時18歳以下の全県民36万人に対する甲状腺検査が実施されている。検査は一次検査と二次検査からなる。 一次検査は超音波検査により嚢胞、結節をスクリーニングすることが目的であり、二次検査は一次検査でB判定以上の住民を精査することが目的である。一次検査の判定基準はA:正常範囲と思われるもの B:5.1mm以上の結節 or/and 20.0mm以上の嚢胞
C:ただちに二次検査が必要と思われるもの である。
 結果、A判定が99.2%、Bが0.8%であり、Cは1人のみであった。Bはほとんどが結節であった。
 二次検査は細胞診不要となった例が40%、細胞診実施例が26%であった。細胞診実施例のうち104人が悪性ないしは悪性疑いという結果となった58人の手術例中、乳頭がん55人、低分化がん2人、良性結節1人であった。また、これら悪性ないし悪性疑い例の実効線量の状況をみると、最大が2.2mSvで67.4%が1mSv以下であった。
 今回の先行調査の結果からは、地域差が認められていない、発症年齢の分布が非被曝群と変わらない、従来本邦で報告されている腫瘍径よりも小さい、チェルノブイリで認められた乳頭がん亜型は認められていない、などが明らかとなった。これらのことから、現時点で発見されている甲状腺がんは、超音波による高精度の検診の影響で、より早期に発見された可能性が高く、放射線被曝の影響とは考えにくいという。今後はこの先行調査を甲状腺がん頻度のベースラインとして、引き続き見守っていくことが重要である。
 〒960-8163 福島市方木田字中屋敷1−1 さとうクリニック内科・消化器科 佐藤浩明
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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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