暑い時の水分補給には何が良いのか?
わが国の糖尿病の特徴は,肥満を生じずにインスリン分泌が少ないことで発症してしまうことである。確かに,肥満→インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる状態)→メタボリックシンドローム→糖尿病という流れの多い欧米人ではエネルギー摂取の適正化とそれに伴う減量が根源的な治療となります。しかし,元来和食を主食としてきた日本人では肥満がなくとも,インスリン抵抗性が高くなくとも糖尿病を発症してしまう可能性があることを考えると単にエネルギー摂取の適正化、減量だけでは不十分でもっと食事の質が問題となるのかも知れません。
その点を踏まえて最近、報告された研究などからエネルギー制限や脂質制限よりも,主食に偏ることなく(あるいは控えながら)主菜と副菜(それもきちんと脂質を含有したもの)の摂取を促すことも大切なようです。
主食・主菜・副菜という伝統的な和食の構成で食べる方が食後高血糖を防ぐのに適していることが報告され始めています。日本人の食後高血糖のピークの高さを決定している要素が実は単純なエネルギー摂取量のみではなく,糖質に偏らずにおかずをきちんと食べるということで食後血糖の是正が可能だということです。別な言葉で言えば,主食のみに偏ることなく,主菜(蛋白質と脂質),副菜(食物繊維)を一緒に摂取することが実は日本人にとってはとても重要であり、さらにはその摂取の順番によっても食後血糖の上昇を抑えられるのです。
食物繊維を含む野菜や海藻類を食事の最初に摂取し、その後に魚や肉類を摂取し、可能であれば最後に炭水化物を摂取する。そうすることによって同じ量の炭水化物を摂取しても食後血糖の上昇が抑えられるということが判明しており、糖尿病の効果的な治療には毎日毎食の食事摂取のあり方を考えるのが実は効果的ではないかと思うのです。
もう一つの糖尿病治療の柱である運動ですが、これもわざわざ時間を取ってとなるとなかなか難しいかも知れません。やはり、日常生活に運動の要素を取り入れることが効果的だと思われます。エレベータやエスカレーターはなるべく使わず意識して階段を使う。階段上りは時速8キロの速歩と同程度の運動強度があると言われていますから日常生活に階段を利用しない手はないかも知れません。さらに歩く時にもただ漫然と歩くのではなく、通常の歩行の合間に少し早めの速歩を加える‘インターバル速歩’もカロリー消費には効果的と言われています。
糖尿病の治療は食事と運動が基本であるのは言うまでもありません。それも常日頃行っていることですから効果的に行うためには今までと同じ様にしていたのでは不十分でしょうし、そこに上記の様な若干の工夫も必要と思われます。