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日本人間ドック学会が「新しい健診の基準範囲」に関する発表を行い,各学会が発表している血圧や脂質の診断基準値とは異なる「基準範囲」が含まれていたことが大きく報道された。この件について「報道などにより複数の“正常”値が存在するような誤解を招いている」として日本高血圧学会が声明を発表。それに続き,日本動脈硬化学会も「人間ドック学会の“基準範囲”は国民の健康に悪影響を及ぼしかねない。誤解を与えないよう,直ちに適切な対応をお願いしたい」との声明を発表した。
日本人間ドック学会が先に公表した検討結果では,人間ドック受診者から抽出した「超健康人」の検査値の分布から,LDLコレステロール(LDL-C)の「基準範囲」が現在の上限(119mg/dL)を上回る男性178mg/dL以下,女性では年齢別に3つの上限値が示され,65~80歳は190mg/dL以下などとされた。トリグリセライド(TG)については,現在の上限(149mg/dL)に対し,男性198mg/dL,女性は134mg/dLとの値が示されていた。
一連の報道を受け,日本人間ドック学会は「ここで示された基準範囲は最終的なものではなく,今後検討の上でとりまとめる」との声明を改めて発表していた。これに対し,日本動脈硬化学会は声明で2012年に策定した動脈硬化性疾患予防ガイドラインで同疾患予防の観点からLDL-CやTGなどに基づく診断基準値に加え,NIPPON DATA80から得られた個別の危険因子を含む絶対リスクに基づく包括的な管理を提唱してきたと説明。対象集団の平均値に基づき,示された日本人間ドック学会の「基準範囲」では,女性よりも冠動脈疾患リスクの高い男性で高い基準値を設定することになるなどと指摘。「動脈硬化性疾患予防の観点から重大な齟齬が生じることになる」と主張した。
日本人間ドック学会が示した「超健康人」の定義については「無症状ではあるが,潜在性の粥状動脈硬化症などを有する症例が多く混在していることなどは否定できず,限られた検査項目の断面解析による定義に問題」と指摘。さらに「(基準範囲は)予防医学的観点から設定した」と主旨の説明を行っている点についても「健診受診者の前向きフォローアップによるアウトカムのデータがなく,これらの値をアウトカムと関連する基準値に設定すること自体に本質的な問題がある」と批判的な見方を示した。その上で日本人間ドック学会に対し「日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねない危険なものであり,一般社会や医療界に誤解を与えないように,健診の本来の目的に沿って直ちに適切な対応をお願いしたい」との言葉で声明を結んでいる。
今までの医学的データに基づき、発表してきた高血圧学会や動脈硬化学会の基準値を如何にも否定する様な発表をしたドック学会の見識の低さが問われた形となってしまいましたね...