暑い時の水分補給には何が良いのか?
肥満は高血圧,脂質異常症,糖尿病,メタボリックシンドロームやある種のがんなどを合併しやすく,短命の危険因子とされる。欧米ではアジア人と比較して,肥満の頻度が高いことと,小児期から肥満の傾向が認められることが知られていた。今回、紹介するのは小児期に焦点を当て肥満の頻度,経年発生率を検討した米国の前向き観察研究である。
米国で1998年に幼稚園児であった7,738例を対象に14歳まで追跡調査が行われた。体格指数(BMI)分布の85パーセンタイル以上を過体重,95パーセンタイル以上を肥満と定義した。
観察開始時の幼稚園時に12.4% は肥満であり,平均11.1歳時には21.9%まで増加し,最終的に平均14.1歳時では20.8%が肥満であった。経済的状況が裕福な家庭の上位20%についての肥満率は経済的に裕福でない群と比較して有意に低率であった。
肥満の年間発生率は5.6歳時から6.1歳時までは5.4%であったが,11.1歳時から14.1歳時は1.7%へ低下した。幼稚園時の過体重児は正常体重児と比較して,14歳までに約4倍肥満発症率が高かった。最終的に5~14歳で肥満となった児童の約半数は,幼稚園での観察開始時に既に過体重であった。
肥満は小児期から形成され,肥満への介入は小児期から検討を要するというのが本論文の方向性である。しかも,5歳では既に肥満児も存在し,肥満の新規発症はこの年齢でも認められたことから,かなり低年齢からの介入が必要である。日本は学校給食という素晴らしいシステムが小学校にはある。ただ単にカロリーと栄養を計算した食事提供が昼にあるというだけでなく,バランスの良い食事を体感する良い機会となっている。ただし,幼稚園以前の肥満形成に対しては有効でない。
最後に,食品メーカーや外食産業もこの問題に積極的に取り組むべきである。社会的啓発のためにも,糖分や人工甘味料を多量に含んだ清涼飲料水の販売や,ファストフードの販売は学校や公共の職場ではある程度,自粛されるべきではないかと思う。また現在カロリー表示を行っている食品,外食メニューについても脂質,糖質,塩分などまで細かく表示し,健康推進によりよい商品やメニューを開発し,積極的に宣伝すべきと思われる。