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腸内細菌が免疫を左右?

佐藤浩明

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先ごろ、腸内細菌が生み出す物質が、免疫力を左右 するシグナルになっているとの報告を、日本の研究グ ループが発表した。食物繊維の多い食事をすると、 これを餌にして短鎖脂肪酸を生み出す腸内細菌が増 えるが、短鎖脂肪酸の一種である酪酸は、過剰な免疫 反応を鎮めて炎症やアレルギーなどを抑える「制御性 T細胞」を増やすシグナルとして働いていることが突 き止められた。
短鎖脂肪酸は腸の上皮細胞のエネル ギー源になるものと考えられてきたが、役割はそれだ けではなかったわけだ。 酪酸は、遺伝子発現のオン・オフをコントロールす る「ヒストン脱アセチル化酵素」に作用し、T細胞のも ととなる細胞が制御性T細胞になるのを誘導してい た。腸内の免疫機能の異常にかかわる、潰瘍性大腸炎やクローン病の予防や治療にもつながる発見だ。
遺伝子に書かれた情報は変わらないけれど、菌叢の 変化による酪酸生成という環境要因によって遺伝子 発現が変わった。これは遺伝子(=ジェネティクス) の上を(=エピ)行く調節、「エピジェネティクス」な制 御が行われているということだ。こうした制御は、か なり長い時間、場合によっては一生涯に及ぶことがあ る。これを作者は「臓器の記憶」と呼び、記憶が固着する までにどのくらいの期間を要するのかということに 興味を持ち、研究を進めている。
菌叢は幼少期に大きな枠組みが決まり、大人になっ てから劇的に変わることはない。しかし、今回の研究 を例に挙げれば、酪酸を生み出す食物繊維の多い食事 という生活習慣が、後天的に菌叢を変化させ、宿主で あるヒトに好ましい「臓器の記憶」を刻んだということになる。
 
 以前から最近の花粉症などのアレルギー性疾患は衛生的になりすぎて、腸内に寄生虫などが居なくなった事が原因の一つだとも言われている様ですが...腸内細菌の力は恐るべし!かも?知れませんね...

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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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