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ピロリ菌陽性率は低下傾向!

佐藤浩明

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 先進国の中では,わが国のピロリ菌感染率は高いことが指摘されている。ピロリ菌は,井戸水や環境に放出される保菌者の糞便,食べ物の口移しなどを介して感染するため,衛生環境の整備状況が異なる出生年代によって感染率に差があることが予測されていた。

 しかし、今回の報告によると,感染後の胃萎縮によってピロリ菌抗体が陰性化するケースがあり,感染既往者を含めた正確なピロリ菌感染率を把握することは難しく,その実態は明らかでなかったという。

 そこで同氏らは,2010年9月~13年3月に同院の初診患者に行った血清ピロリ菌抗体の検査結果に基づいて出生年代別に感染率を算出し,さらに「血清ピロリ菌抗体陰性かつ慢性胃炎あり」の者についても感染既往者と見なし,感染経験者率の傾向を検討した。

 1950年代に出生した者の陽性率は36.0%,60年代は24.8%,70年代は16.9%,80年代は13.6%であった。一方,1940年代に出生した者の陽性率は46.0%,30年代は45.6%と,いずれも40%台であったことが分かった。さらに,「血清ピロリ菌抗体陰性かつ慢性胃炎あり」を含めた場合の出生年代別の陽性率の推移にも同じ傾向が認められた。

 対象データは同施設の受診者に限られていたが,同院がある愛知県の衛生環境に特に問題があったことはなく,わが国における出生年代別ピロリ菌感染率推移の傾向を示していると同氏。今回示された出生年代別の傾向から,これまで続いていたわが国の胃がんの年齢調整罹患率の低下傾向は今後も続くことが予測されると述べた。

 当クリニックにおいても昨年2月のピロリ感染胃炎の除菌療法適応拡大以降、内視鏡上でピロリ感染が疑われる方は積極的にピロリ抗体を測定し、100名超の患者さんを除菌してきました。近年は除菌治療に使用する抗生物質の耐性化の問題があり、除菌率は低下傾向が有るとされていますが、幸いにも投与薬剤の変更等で90%前後の除菌率を維持出来ています。近日中には新しいパック製剤も発売予定となっており、さらに除菌率が上がりそうな投与法も検討しているところです。

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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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