将来への過度な心配:物価高の不安対策に向き合うススメ
世の中には、願いをかなえる石がある。
石に触れたり、手を合わせたりして、
願い事をする。
恋愛成就。
商売繁盛。
健康祈願。
……担当業務が幅広い。
その石、誰が採用したのだろう。
考えてみれば、石は何も言っていない。
「願いをかなえます」とも、
「お任せください」とも言っていない。
ただ、そこにある。
なのに、いつの間にか、
人の人生を左右する重要ポストに就いている。
しかも、業務内容がすごい。
恋愛から商売まで。
健康から人生全般まで。
もはや、石というより総合相談窓口だ。
採用面接なし。
契約書なし。
報酬の説明なし。
それでいて、期待だけは大きい。
……なかなかのブラック案件。
責任は重大。権限はゼロ。
例えば、商売繁盛を願う。
売上が伸びますように。
お客さまが増えますように。
経営がうまくいきますように。
石は、その願いを受け取る。
しかし、仕入れ先を変える権限もなければ、
価格を決める権限もない。
営業にも行けない。
広告も出せない。
採用もできない。
予算もない。
……これで結果を求められる。
責任者なのに、決裁権がない。
会社なら、なかなか問題のある人事。
しかも、願いがかなわなかった場合。
石は八つ当たりされることもある。
……説明を求められる。
「今回の未達要因について、報告してください」
……石は黙っている。
石だもの。
最初から、何も約束していない。
評価制度も、ずいぶん独特。
願いがかなえば、ご利益。
かなわなければ、
相性が悪かったのかもしれない。
別の石にお願いしてみよう。
……人事異動ならぬ祈願石異動。
意思確認もなく、
評価によって担当を外される。
しかも、引き継ぎ資料はない。
次の石も、何が起きたのか分からないまま、
新しい願いを受け取る。
こうして、
願いをかなえる石の業界では、
今日も人知れず祈願石異動が行われている。
……石材業界も大変。
残業代はもちろんないよね
もちろん、願いを込めることには意味がある。
気持ちを切り替えたり、
一歩踏み出すきっかけになったりする。
それなら、石も立派な役割を果たしているのだろう。
ただ、願いを受け取るたびに、
石の仕事が増えているのだとしたら。
せめて、業務範囲くらい明確にしてほしい。
恋愛成就。
商売繁盛。
健康祈願。
これだけ担当させておいて、
勤務時間も報酬も不明。
……労働条件が、石より固い。
願いは無限。石の労働条件は未整備。
そのうち石のほうから、
こんなお願いが出てくるかもしれない。
「どうか、私の担当業務を減らしてください」
……その願いだけは、
自分でかなえられないらしい。



