小島与一:博多人形に込められた情熱と心

さぁ、今週も金曜日になりました。
福岡を語る上で、忘れてはならない偉人伝。
毎週金曜日のお約束。
今日は、久留米市出身の
三隅二不二(みすみ じゅうじ/1924年~2002年)
リーダーシップ論のPM理論を提唱した社会心理学者のお話です。
リーダーについて考えるとき
…リーダーって、結局なにが大事なんだろう?
なりたての新人リーダーやマネジメントをしている管理職の方の疑問。
産業カウンセリングでありがちな良く聞くお話です。
そんなことを考えている人は、今も昔もいる。
その中でも、その疑問をひたすら探究し続けた人が福岡にいます。
その名も、三隅二不二(みすみ じゅうじ)氏。
福岡県久留米市出身の社会心理学者。
リーダーシップについて世界に大きな足跡を残した人物です。
三隅二不二ってどんな人?
三隅二不二氏は、声高に理論を語るタイプではありません。
場の空気を読み、問いを立て、言葉にしていく。
——そんな“静かな実践者”でした。
九州大学や大阪大学で教鞭をとりながら、
企業や学校、自治体など、現場に足を運び続けた人でもあります。
1967年には「集団力学研究所」を設立し、学問と実践の橋渡し役として活躍。
1994年には、アジア人として初めて「クルト・レヴィン賞」を受賞。
そんな世界的にも評価された偉人です。
PM理論ってなんですか?
その中でも国際的に評価されている三隅二不二氏が提唱した「PM理論」。
この理論は、リーダーシップを2つの力で捉える考え方です。
わかりやすく書いてみると下記のような感じ。
P(Performance)機能
目標を達成する力。
計画を立てて、結果を出す。
M(Maintenance)機能
人間関係を保つ力。
場の空気を整え、みんなが気持ちよく働けるようにする。
ってところでしょうか。
この2つのバランスで、リーダーのタイプが見えてきます。
二つのバランスで見えてくるもの
たとえば、PもMも強い人は「PM型」。
理想のリーダーですね。
Pだけ強い人は「Pm型」。
結果は出すけど、ちょっと冷たいかも。
Mだけ強い人は「pM型」。
みんな仲良しだけど、進まない会議になりがち。
そして、どちらも弱い人は「pm型」
……これはもう、リーダーというより、ただの参加者かもしれません。
15万人の行動を見つめた人
三隅二不二氏は、なんと15万人以上の人々の行動を調査しています。
企業、学校、自治体——。
あらゆる“場”に足を運び、リーダーの行動を記録し続けたんです。
15万人って、福岡市の中央区がまるごと対象になったくらいの規模。
それを一人の研究者が地道に見つめ続けたって、ちょっとすごすぎませんか。
三隅二不二氏は、ただ数字を集めるだけじゃなくて、
「この人はなぜこう動いたのか」
「この場はなぜうまくいったのか」と、
問いを立て、答えを探求し続けました。
今の私たちに、何が響くのか
成果ばかりが求められる今の時代。
ですが、三隅二不二氏の研究を通じて、
「人を動かすのは、成果だけじゃない。関係性だよ」と伝わってきます。
私自身、問いかけ型・共感型の発信を大切にしているからこそ、三隅二不二氏の理論には深くうなずくものがあります。
・・・とはいっても、
当事者になってしまうと理解しがたいものが出てきます。
頭でわかっていても、理解していることが実践できるとは限らない。
常に人生勉強だと学ぶ日々です。
そこにある場をつくることは問いを立てること。
問いを立てたら、人の可能性を信じること。
——それは、今も私たちの中に生きている三隅二不二氏の哲学だと思うのです。
金曜日の場に寄せて
三隅二不二氏の生きざまは、リーダーシップの話にとどまりません。
それは、「どう生きるか」「どう関わるか」を問い続けた人の生き方です。
金曜日のこの場が、そんな問いの種を蒔く場所になりますように。
そして、読んでくださるあなたの中に、ヒントから芽吹く何かが育まれますように。



