情報を選ぶ力は組織の強さ:情報リテラシーを文化にする

鎌田千穂

鎌田千穂

テーマ:激変する時代こそ聡明である秘訣

へなちょこなすび
今日は、情報を選ぶ力は組織の強さについて考えることがありまして。
もっと情報リテラシーを文化にする方に目を向け、社員教育の体制を整えてみてはどうかなという観点から書いていきます。

” 情報を扱う企業 ” と ” 情報に振り回される企業 ”

経営会議で、こんなシーンを想像してください。

「市場データによると、この分野が成長中。参入すべきです!」
「競合がこの施策を始めたので、同じ戦略を検討します!」
「社内アンケートで人気の施策を採用しました!」

凄く活気がある良い感じがしますね。
私もそういった場に関わることがこの上なく大好きです。

重鎮の判断基準と要件が満たされているか

ですが、長い歴史のある企業で、このように活発に意見交換がなされにくくなっています。

理由は、判断基準と要件が満たされていないと承認されません。
詰問や尋問の洗礼を受けるのですから ”恐怖の吊るし上げの洗礼” を受けます。
最後に、そうまでしても通らないか差し戻しが続くわけです。

そうなると、”どうせ無理。言っても通らない。” という気持ちが増幅され、意見はどんどん失われてます。

目指すところは同じなのにすれ違い

私が依頼を受けている公共の職業訓練校においてのプレゼン講座。
担当する機会は数回ほどです。

ですが、入校時期から終了までの半年にかけて練習を行う機会を設けるほどに日々の経験と慣れが必要なのです。

中身のないプレゼンは通らないもの

プレゼンテーション講座では、皆さんとても合理的な出来上がった内容に見えます。

一見すると、それはコンサルタントが作るようなスタイリッシュな資料。
単にAIの自動生成でデザイナーに作ってもらって”どや!”としていることもある。
そして、格好良い見栄え重視のプレゼンがある感じです。

また、新聞記事を読んでプレゼンに仕上げるのは皆さんとても上手です。
自信のあるなしにかかわらず経験に基づいて「伝える力」はどの人も秀でている。

ですが、

  • このデータの出どころは?本当に長期的なトレンド?
  • 競合に追従するだけで、独自の強みは生かされている?
  • アンケートの結果、本当に全員の意見を反映している?


というところに辿り着くには、本人の気づきと腹落ちが前提です。

こういった事実に、企業は気が付いていないのではないかと感じるのです。

真剣だから判断基準が厳しくなりがち

目指すところは同じなのにすれ違いの連続。
その結果、重鎮の判断基準と要件が満たされているかにつながる。

もちろん、真剣に話を聞いているから判断基準が厳しくなり企画が通るか否かにつながります。

…とはいえ、受け取る側には、その真意は全く伝わっていない。
重鎮の皆様が長い経験が積み重ねてきた歴史は新しい方が経験することはない。
その経験がない方々に、数十年の経験をいきなり求めがちであれば厳しいですよ。

人手不足などが重なると教えられるには限りが出てきます。
そうなると、 “理想の人” を採用する方が早いと考えがち。
ですが、再就職支援でもわかる通り、既にそのノウハウを持った人は自分で始める。
結果的に、永遠に “理想の人探し” は終わりません。

だからこそ、重鎮の皆さんの経験を知らない方々に対して、情報を選ぶ力を身に着ける機会を作ることが大事なのです。

情報は企業の意思決定の基盤

ですが、その使い方を間違えれば、企業は「情報に振り回される組織」になってしまう。
重鎮の経験は過去のものであり、誰しもがその経験をしているわけではない。
その財産を次につなげることこそが、組織の強さ、企業の繁栄につながっていくのじゃないかと考えています。

情報リテラシーを企業文化にするべき理由

情報リテラシーを単なる研修ではなく、企業の戦略の中心に据えること。
その理由は以下の3つ

戦略の意思決定精度が向上する

鵜呑みにせず、データの背景を分析する習慣がつくことで、確かな判断ができる。

企業の透明性が高まり、信頼につながる

消費者や従業員が、企業がどんな情報をどう扱っているかを理解しやすくなる。

市場の変化に柔軟に対応できる

過去の情報に頼るだけでなく、新しい情報を正しく評価できる組織になる。

情報リテラシーは、単なる「データ分析の技術」ではありません。
企業の持続的な競争力に直結するスキルだと私は考えています。

実際に情報リテラシーを企業文化にするには

情報リテラシーを企業の仕組みに組み込むにはどういたらいいのか。
以下のような施策が有効ではないでしょうか。

情報判断のプロセスを標準化する

たとえば、経営会議でデータが示されたときに必ず「出どころ・偏り・背景」を確認するルールを作る。

企業全体で「ただの数字ではなく、情報の本質を見る」文化を根付く習慣つくりが必要かと。

組織全体で情報リテラシーを共有する

部門ごとの視点で情報を議論し、「同じ市場データをどう解釈するか?」を学び合うワークショップを実施。

情報の捉え方は職種によって異なるため、異なる視点からの分析を習慣化することが重要。

情報の透明性を社内で確保する

上層部の意思決定プロセスにおいて、「どの情報を基に判断したのか?」を明示する。
そのことで、社内の信頼を高め、従業員が納得感を持てる組織を作る。

企業の情報戦略に消費者の視点を取り入れる

企業が発信する情報が「消費者にとって理解しやすいか?」を検証。
「企業側の視点」と「顧客視点のバランス」を考える仕組みを導入する。

などなど、企業の情報リテラシーは、社内だけでなく、外部との信頼関係構築にも不可欠だと考えています。

情報リテラシーを実践している企業の事例

プロフェッショナルの立場ではないのでざっくりと。

Google:検索結果の透明性を向上

Googleは検索アルゴリズムの仕組みを開示。
「なぜこのサイトが上位にあるのか?」を説明する施策を拡充。
これにより、企業と消費者が「情報の選び方」を理解しやすくなっています。

Netflix:視聴データを活用してコンテンツ戦略を最適化

単なる人気ランキングではなく、「どの作品がどの層に響くのか?」という視点でデータを分析しています。
ヒット作を生み出す意思決定に活用している。

Patagonia:企業情報の開示による信頼の構築

製品の素材や製造工程について、消費者が知るべき情報を詳細に公開。
透明性を保つことでブランドへの信頼を高めているようです。

情報リテラシーを実践している企業の多くは「情報リテラシーがブランドの強化につながること」を理解し始めています。

では、もっと多くの企業がそれを文化として根付かせるにはどうしたら良いのでしょうか?
ここのエリアが、過去の経験には無い領域となります。
そのため、これまでの縛りを解いて、新たな挑戦と失敗を積み上げていく必要があるのではないでしょうか?

まとめ:情報リテラシーは企業の生存戦略

情報リテラシーを持つ企業は、市場の変化に柔軟に対応し、意思決定の精度を高め、消費者との信頼関係を強固にすることができる。

  • 情報をうのみにする企業は、流れに流される
  • 情報を分析できる企業は、戦略の精度を高める
  • 情報リテラシーを文化にした企業が、持続的な成長を遂げる


これからの時代、企業が生き残るためには、「情報を扱う力」こそが最も重要なスキルになるのではないでしょうか。

今日は小難しくなりました。
ちょっとまとめて書ききれなかった。

(( ̄▽ ̄;;)ア、ハハハハ…

とはいえ、ご自分の働いている会社は
「情報に流される組織」なのか、
それとも「情報を選び取る組織」なのか?

任せる懐広さをもって、情報という財産を承継することが次世代を担うことになります。

…とはいえ、私自身にも振り返りNow。
人のことは良くわかるのに自分のことはわからないもんです。

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鎌田千穂
専門家

鎌田千穂(産業カウンセラー)

Chi-ho’s studio

組織課題を広い視野で捉え、主体性を持った思考と行動力、公私の均衡を図る自律型人材育成を行うこと。分析・統計による業務改善の解決策を示し、個人の悩みを解き放ち、企業の繁栄に繋げることが専門です。

鎌田千穂プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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