感覚の交差点:クロスモーダル現象があなたの心に作用する

鎌田千穂

鎌田千穂

テーマ:激変する時代こそ聡明である秘訣

仕事とやるき
私たちは日常生活の中で、視覚や聴覚、嗅覚、触覚、味覚といった五感を何気なく使っています。
それぞれが独立して機能しているように思われがち。

ですが、実はこれらの感覚は密接につながり合い、互いに影響を与えながら、私たちの世界の見方や感じ方を形作っています。

このブログでは、「クロスモーダル現象」とは何か。
その仕組みや日常生活での事例、さらには心や未来への可能性に迫ります。
感覚の交差点を理解して、あなたの感性が研ぎ澄まされていくきっかけになりますように。

感覚は「チーム」だった?

私たちの五感は、それぞれ独立して働いていると思いがちですよね。

「見える」という視覚
「聞こえる」という聴覚
「味わう」という味覚
「匂う」という嗅覚
「触る」という触覚

ですが実際には、それぞれの感覚はバラバラではありません。
互いに影響し合い、脳の中でつながっています。

この感覚同士のつながりこそ。
私たちに新しい視点や驚きをもたらしてくれる「クロスモーダル現象」です。

日常の現象を振り返ってみる

たとえば、日常の現象を想像してみてください。

ある音を聴いたとき、その音がどんなイメージや感情を引き起こすかを考えたことはありますか?
料理の香りや見た目が味の感じ方に影響を与えた経験はないでしょうか?

それらは、振り返ってみると全ての感覚が相互に作用し合っている。
その不思議な現象の影響を日常で受けているのです。

では、もっと詳しく見ていきましょう。
聞くと難しそうに感じるかもしれません。
ですが、実は私たちの日常の中に隠れたこの現象を知れば、感覚の奥深さを楽しむきっかけになります。

クロスモーダル現象とは?

クロスモーダル現象は、簡単に言うと、異なる感覚同士が影響し合う現象です。
たとえば、音を聞きながら映像を見るとき、脳は音と映像を「一致」させようとします。

こういった感覚を映画やドラマであれば、効果音などが該当します。
シーンに沿った効果音で、映像の世界を数倍も楽しむことができるのです。
ですが、音と映像がズレていると、脳はそのギャップを埋められず「違和感」を覚えます。

他にも、嗅覚と味覚が連携して「美味しい」と感じる体験。
これも、この現象の一例です。

一つ一つの感覚が、別の感覚に影響を与え、私たちの体験を作り出しているのです。

日常に潜むクロスモーダル現象

クロスモーダル現象は、特別な実験室でしか起こらないわけではありません。
私たちが日常で無意識に体験している場面でも、多く見られます。

室温と色

室温が同じでも、壁紙の色によって感じ方が変わります。
寒色系の壁紙の部屋では涼しく、暖色系では暖かく感じることがあります。

これも視覚と触覚のクロスモーダル現象の一例です。

風鈴の音と文化的背景

夏になると涼しげな風鈴の音が聞こえてきますね。
この音を「涼しい」と感じるのは、実は日本の文化的な背景が影響しています。

海外の人々には、この音が涼しさと結びつかない場合もあり、感覚と記憶のつながりが大きな役割を果たしていることが分かります。

また、世界初の発見では、香りで映像のスピード感が変わることがわかりました。
同じ動画を見た際、無臭のときと比較すると、レモンは遅く、バニラは速い感覚になっています。
こういった実証実験の効果が変わるというのは脳の仕業。
本当に面白いんですよね。

音楽が味に影響を与える?

ある実験では、「軽やかな音楽」を聴きながらチョコレートを食べると、甘さを強く感じる一方で、「おどろおどろしい音楽」を聴くと苦みをより感じるという結果が出ました。

ポジティブな音楽がポジティブな味覚を。
ネガティブな音楽がネガティブな味覚を強調する。

そんな感覚と感情の深い関連が示されています。

この実験では、約7割の参加者が音楽による味覚の変化を経験したそうです。

退職者激減:定着率を上げる事も可能

実は、私はこの感覚に目を向けて職場の定着率を上げたことがあります。

その時は、ブラインドを開け、空気を入れ替える。
観葉植物を向き合った机の中央に置いたり、休憩室の壁に明るい色の絵を飾る。
自販機ではない珈琲メーカーを入れて、珈琲の香りが漂うように。
中にはアロマオイルが入ったハンドクリームを使う方もいて。

ちょっとした事だったんですよね。
ですが、メンタル面にも大きく影響。

その時は、圧力を感じるような重たい雰囲気が、ほんわかと和んだ感覚が伝わりました。
今思えばクロスモーダル現象だったんだなぁと感じています。

クロスモーダル現象の広がる可能性

クロスモーダル現象の研究や活用は、私たちの日常生活をより豊かにするだけでなく、多くの分野で新しいアイデアや技術を生み出しています。

以下に、その活用例をわかりやすく説明します。

バーチャルリアリティ(VR)と拡張現実(AR)

VRやAR技術では、視覚と聴覚がクロスモーダル現象を活用して統合されています。

たとえば、VRゴーグルを着けてゲームをする際、立体的な音響効果が映像と組み合わさることで、あたかもその場にいるようなリアルな体験が可能になります。

これに触覚が加わると、例えば剣を振った感覚や風が吹いている感触まで再現することも目指されています。

医療とリハビリテーション

リハビリの現場では、クロスモーダル現象を利用した新しいアプローチが注目されています。

たとえば、視覚的な刺激(色や形)と触覚的な刺激を同時に与えることで、神経の回復を助けるリハビリ法が開発されています。

また、聴覚と視覚を組み合わせて患者をリラックスさせるような手法も取り入れられています。

教育と学習体験

クロスモーダル現象は教育の分野でも活躍しています。

動画教材では、映像とナレーションを組み合わせることで、子供たちの理解度や集中力を向上させる効果が確認されています。

さらに、AR教材では、画面上に浮かぶ地球儀を触るような体験をすることで、地理の授業をより楽しく、記憶に残りやすいものにしています。

デザインとマーケティング

製品や広告デザインにも、クロスモーダル現象が使われています。

例えば、炭酸飲料の広告で「シュワシュワ」という音を聞くと、その飲み物がより爽やかでおいしそうに感じることがあります。

また、パッケージの色や形が「この商品は新鮮だ」や「高級感がある」といった感覚を誘発する例もあります。

エンターテインメントと感覚の融合

映画やゲームでは、視覚と聴覚が巧みに組み合わさって、感情を揺さぶるような演出が行われます。

たとえば、ホラー映画では、不気味な音楽と暗い映像が一緒に使われることで恐怖感が増幅。
逆に、明るい映像と軽快な音楽を組み合わせたCMでは、ポジティブな印象を強く与えます。

おわりに:感覚を楽しもう

次に食事をするときや音楽を聴くとき、五感がどのようにつながっているか意識してみるとわかります。

あなたの日常の中にも、クロスモーダル現象が潜んでいるはず。
日常で着用している持ち物や服の色、香水やコロンの香り。
外を歩くときの空気の感覚や寒暖の差。

その感覚のつながりを発見することで自分の日々のモチベーションにもつながっていきます。
そういった日常の捉え方を味方にすることで、日々の過ごし方がガラッと変わるかもしれませんね。

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鎌田千穂
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鎌田千穂(産業カウンセラー)

Chi-ho’s studio

組織課題を広い視野で捉え、主体性を持った思考と行動力、公私の均衡を図る自律型人材育成を行うこと。分析・統計による業務改善の解決策を示し、個人の悩みを解き放ち、企業の繁栄に繋げることが専門です。

鎌田千穂プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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