ケアラーこそ自分軸を持とう -揺れない自分でケアする-

西岡惠美子

西岡惠美子

テーマ:ケアラー支援

ケアラーこそ自分軸を持とう -揺れない自分でケアする-

~ケアラーのみなさまへ~

育児、介護、療養、看護…。
誰かを支える役割を担うことは、とても尊く価値ある営みです。けれど同時に「終わりの見えない責任感」と「日々積み重なる疲労」に押しつぶされそうになることも多いのではないでしょうか。

たとえ相手が大切な家族であっても、ケアは決して楽なものではありません。
特に精神疾患や精神障害を抱える家族を支える場合は、目に見えにくく、変化も捉えにくいため、「安定って何だろう?」と感じる日々が続くことも少なくありません。

そんな日常の中で、ケアラー自身がどう心を守り、どう自分を保つか――それがとても大切なテーマになってきます。


1.小さな変化が大きなストレスになる理由


人は本来、変化に弱い存在です。
それがどんなに小さな変化であっても、「昨日できたことが今日はできない」「少し様子が違う」といった出来事は、ケアラーにとって大きな不安やストレスの種になります。

しかも精神疾患の症状は予測が難しく、ほとんどがケアラーにとって「未経験の変化」の連続です。気を張り続ける日々は、心労や疲労を増幅させ、心身を限界まで追い込んでしまうのです。

2.コントロールしたくなる気持ち


そんな状況が続くと、ケアラーはつい「相手を変えたい」「コントロールしたい」と思ってしまいます。

■「いつまでそのままでいるつもり?」
■「自分のことなんだから自分で何とかしてよ」
■「せめて○○くらいはできるようになってほしい」

実際に口に出すのは100回に1回かもしれません。でも心の中では、ほぼ毎日こうした思いが湧いてきているのではないでしょうか。

その気持ちは決して悪いことではありません。むしろ自然で、人間らしい感情です。ただ、その思いに囚われすぎると、ケアラー自身がますます苦しくなってしまいます。

3.苦しさの正体 ― 振り回されているのは「人」ではなく「症状」


ではなぜ、こんなにも辛いのでしょう。
実は私たちが振り回されているのは、家族という「人」ではなく、病気の「症状」なのです。

症状は本人の意思ではコントロールできません。だからこそ強固で、思い通りにならず、ケアラーを疲弊させます。そこを「知識」や「気力」でどうにかしようとすればするほど、空回りして消耗し、最終的には燃え尽きてしまうのです。

4.ケアラーに必要なのは「症状を変えること」ではない


ケアラーが本当にやるべきことは、病気の症状を抑えつけたり、無理に変えようとしたりすることではありません。

大切なのは、振り回されないようにすること。浸蝕されないように、自分自身をしっかりと保つことです。

そのためには、次の3つの問いがカギになります。

■私は本当はどうしたいと思っているのか
■相手の病気に関わらず、私はどう感じているのか
■私自身は今、何ができるのか

これらを突き詰め、自分の言葉や行動として形にしていくこと。それこそがケアラーにできる、そしてケアラーにしかできない関わり方なのです。

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5.「自分軸」を持つことがケアラーを守る


この3つの問いに共通するのは、「自分」を基準にしていることです。
つまり、ケアラーにとって必要なのは「自分軸」を持つこと。

自分軸とは、相手の状態や状況に左右されず、自分の感じ方・考え方・行動を大切にする姿勢です。
相手を変えようとするのではなく、自分を保つことに意識を向けると、不思議と関係にも余裕が生まれていきます。

自分軸を持つことで、

■相手の波に飲み込まれにくくなる
■自分の感情を客観的に見つめられる
■ケアを「無理なく続けられる形」に変えられる

こうしたメリットが積み重なり、ケアラー自身の心と体を守ってくれるのです。

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6.まとめ ― ケアラーにこそ自分軸を


精神疾患を抱える家族を支える日々は、予測不能な変化の連続です。
その中で相手を変えようとすれば、ケアラーはますます疲れ、やがて燃え尽きてしまいます。

だからこそ大切なのは、「症状」と「人」を切り離して考え、自分の感情や意志を軸に生きること。
「私はどうしたい?」「私はどう感じている?」「私には何ができる?」――この問いを繰り返しながら、自分の軸を育てていくことです。

ケアラーにとって、自分軸を持つことはわがままではありません。むしろ、相手を支え続けるための必須条件なのです。

病気の家族にこそ、自分軸をしっかり持ち、それに沿って生きる。
それが、ケアラーと家族の両方を守る大切な道なのだと思います。

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