家族自身のセルフケアの基本　ー家族全体の健康を守るためにー

『うつ病が良くなってくれたらそれでいい』

って思って一生懸命ですよね。
ただ、その「それでいい」の中に、あなた自身は含まれていますか？
『私自身は今はどうでもいい』って、ちらっとでも思っていませんか？

1．それではうまくいかない

はっきりお伝えしますが、それではうまくいきません。
というより、あなたがご自身の気持ち・やりたいこと・考えを後回しにして押さえつけたうえで成立するうつ病ケアは、砂上の楼閣です。
いつかざらざらと崩れてしまいます。

だって、うつ病ケアの土台となるべきあなた自身が疲れてボロボロになっちゃうんですから。
あなたがうつ病になるリスクだってゼロじゃありません。
うつ病にならないとしても、燃え尽き症候群、共倒れ、または共依存関係になるリスクがあります。
そうなったらご家族のうつ病は回復しないし、そればかりかあなたまで似たような状態になってしまいます。

うつ療養は、支える側の心身が健康であってこそ回復を目指すことが出来るのです。

『……そんなこと言われても、何をしたらいいのか分からない』
ですよね。(´ー｀*)ウンウン　よくわかります。
そしてせっかく取り組むなら、そのケアが自分に・家族にどんな効果があるのか、も、知っておきたいですよね。
今回は今すぐ出来る3つのポイントをご紹介します。

2．基本①睡眠

何をおいても大事なのが「睡眠」です！
ちゃんと毎日眠れていますか？夜お布団に入るだけが睡眠じゃないですよ。
1日7時間、できれば夜11時頃から朝まで中断なく眠ることが、良質な睡眠とされています。
睡眠は体の疲れを取るためだけじゃありません。体の疲労回復だけなら横になっていれば十分です。
睡眠は、脳のために絶対に必要です。

良質な睡眠をとることで、脳は日中の出来事（情報）を整理し、必要なものを記憶として定着させます。
更に睡眠状態になることで脳の疲労が回復し、脳内ホルモンの分泌が正常化します。
セロトニン、アドレナリン、ドーパミンと言ったホルモンが正常に分泌され受容されることで、メンタルが安定します。このバランスが崩れた状態がうつ病なのです。

だから「1日7時間、夜間帯にぶっ続けで眠る」ことが必須なのです。

3．基本②自律神経

次に大事なのが自律神経です。「副交感神経」とか「交感神経」って聞いたことありますよね。
「自律」ですから、本来は私たち自身が意識しなくても勝手に動いて心身のバランスを整えてくれる神経です。

ですが、ストレスにめっぽう弱いです。
だから過度な緊張・疲労・不安感などを抱え続けるとガタガタになって、夜眠れないし、朝起きられないし、便秘になったり下痢になったり、暑いのか寒いのか分からなくなるし、風邪をひきやすくなるし、常に胸がどきどきしてたりします。

自律神経のケアに大事なのは「バランス」です。
リラックスを司る「副交感神経」と覚醒を司る「交感神経」が交互に働くことで、「やるときはやる！休むときは休む」というメリハリのある生活を送れるのです。
自律神経のバランスのカギを握るのは「血流」です。血液が正常に全身をめぐってくれることでバランスが整います。
そのために必要なのがまずは「睡眠」です。

そして日中の過ごし方としては、

が効果的です。

4．基本③自分を褒める

『へ？』って思われたかもしれませんね。だけどこれ、全然やってないんじゃないですか？
こんなに毎日頑張って家族のために心を配ってあれこれお世話しているあなたを褒めないなら、一体誰が褒められるんでしょう。

あなたや私たちケアラーに限らず、大人は自分が出来たことをそのまま「良し」と認めて評価することが上手ではありません。
それは「もっと上」を目指しているから、ですよね。

それはとても素晴らしいことですが、「もっと上」を目指した時、ワクワクしますか？
今ならむしろぐったりしてしまうのではないでしょうか。
それくらい心身のエネルギーが枯渇しているのです。

「もっと上」を想像したときわくわくするまで、それはお預けにしましょう。
そして「今出来ていること」を確認し、評価しましょう。
褒め言葉が思い浮かばなかったら、批判をしなければOKです。
これを「セルフコンパッション」といいます。

私たちケアラーは、まずは「十分な睡眠」「自律神経のバランスを整える」「自分を褒める」の3つでセルフケアに努めましょう。