上手な愚痴の聞き方とは

~話を聞くだけでできる3つのコミュニケーションの工夫~
「うつ病の家族には、話を聞くだけでいいんです」
そんなふうに言われても、「何もしてあげられない…」と申し訳なさを感じたことはありませんか?
実は、「話を聞くだけ」という行為こそが、家族としてとても大切なサポートになっています。特別なアドバイスをしなくても、相手が「ここにいていい」と感じられるような関わり方があるのです。
今回は、うつ病の家族を支えるうえで役立つ《3つの会話の工夫》をご紹介します。
➊「聞くだけ」で本当に大丈夫?──カギは“傾聴”の姿勢
「聞くだけ」とは、ただ黙っていることではありません。心理カウンセリングでも重視されている「傾聴」のスキルが土台になります。
【傾聴の3つのポイント】
受容的な態度
評価せず、相手の気持ちをそのまま受け止める
→「そう思ったんだね」「それは大変だったね」
あいづちやうなずき
話しやすいように反応を返す
→「うんうん」「なるほど」
感情への共感
内容よりも“気持ち”に注目する
→「それはつらかったね」「悲しかったんだね」
助けようと頑張りすぎなくても、「ここにいて、話を聞いてくれる」その存在が、相手にとって安心になるのです。
➋質問の仕方を工夫すると、相手の本音が見えてくる
「聞いてるだけでは、本当の気持ちが分からない」と感じることもありますよね。そんなときは、“質問の仕方”に一工夫してみましょう。
質問には2種類あります。
クローズドクエスチョン(Yes/Noで答えられる)
→「何か飲みたいものはある?」
→「お散歩に行ってみる?」
オープンクエスチョン(自由に答えられる)
→「今日はどんな気分?」
→「少しでも楽になれたことはあった?」
相手の疲れ具合や気分に合わせて、問いかけ方を調整することで、自然と会話の糸口が生まれてきます。
沈黙があっても気にせず、安心できる空気を保つことが何より大切です。
➌自分の気持ちも大切に。伝えるときは「アイメッセージ」で
家族がうつ病になると、「自分の気持ちは後回し」と思ってしまいがち。
でも、それが長く続くと、心のズレや我慢が積もって、関係がしんどくなることも。
支える側のあなたの思いも、大切な感情です。
それを伝えるときに役立つのが「アイメッセージ」という話し方です。
【アイメッセージのポイント】
「私は〜」を主語にする
→「私はあなたのことが心配なんだ」
相手を責める言い方を避ける
→「なんで〇〇しないの?」ではなく
→「私はあなたが大切だから、気になってる」
感謝や前向きな気持ちも伝える
→「今は大変だけど、私は一緒に乗り越えていきたい」
感情をシェアすることで、よりあたたかい信頼関係が築けます。
まとめ
~家族の関係を支えるのは、小さな「聴く」「問う」「伝える」~
誰かを支えるということは、特別なアドバイスをすることではありません。
「聴くこと」「問いかけること」「伝えること」――それぞれを少しだけ丁寧にすることで、家族の絆はしっかりと育まれていきます。
焦らず、頑張りすぎず。
まずはあなた自身が、安心して話せる空間をつくっていきましょう。
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