仕事でミスをして落ち込んだ時
辛い状況にあると、それがずっと続くように感じて、自分を責めるようなことばかり考えてしまいませんか?
その状態でも「前向きに考えなきゃ」と自分に負荷をかけて、更に余裕がなくなってしまっているかもしれません。
辛い状況にあるときこそ、自分自身と上手に向き合うことが必要です。
今回は自分との向き合い方と、そこから得た結果を使って現状を乗り越えるポイントをご紹介します。
1.なぜ自分と向き合うべきなのか
①自分の内面に「今の問題」への対処方法のカギがある
先ず前提として、「自分と向き合う」とは自分を責めたり批判することではない、ということをご理解ください。
辛い時には、どうしても「あのときこうすればよかった」「最善手を取れなかったのは自分のせいだ」と自分の不足分にばかり目が行きがちです。
問題は「足らなかった/間違えたところだけ見てしまう」ということです。
自分のしたことが本当に全部間違いでしょうか。絶対にそうではないはずです。
出来たところ、出来なかったところ、挑戦出来たこと、しり込みしてしまったこと。
その全てを洗い出すことで、八方塞がりだと思っている現状を打破するカギを見つけることが出来ます。
②現状分析には自己分析が必須
仕事であれ勉強であれ家庭内の問題であれ、何か対処すべき事柄があれば「今どんな状態か?」を考えますよね。
その現状分析に、自分自身のことも含まれます。
というより、自分がどんな状態にあって、問題をどう捉えているか、が、今後の展開に大きく作用します。なぜなら自分が主体で対処するからです。
映画で例えれば主人公です。宇宙からの侵略者に対して主人公が何を考えているか、どうしたいか、が分からなければ話が進みません。
そしてこの時の自己分析が「自分の欠点発表会」に終始してしまったら、問題に対処しよう、というモチベーションが下がる一方です。
辛い状況における現状分析は、自分自身のこと要素の一部として中立的に分析することがポイントです。
自己分析すれば人生が変わる
③過去の実績は忘れやすい
そして自分と向き合う中で過小評価してほしくないのが「過去の実績」です。
実績とは、なにも表彰されるような飛び抜けた結果だけではありません。
急にうつ症状が悪化した家族との会話でカチンと来るようなことを言われても、一旦飲み込んでから冷静に対処してケンカを回避できた、としたら、これも十分立派な実績です。
しかし賞状のような目に見える形が残っているわけではないので、日常の一コマとして忘れやすいです。
忘れていた実績を思い出すためにも、自分と向き合うことは有効です。
次は更に細かく自分と向き合うポイントを見ていきます。
2.自分との向き合い方① 辛い感情を乗りこなす
①自分の感情を認識する
辛い状況とネガティブ感情はセットです。
不安、怒り、焦り、悲しみ、孤独。
どれも一秒でも早く手放したい感情です。
しかしその感情が「ある」ことを無視しては、状況に対処することは出来ません。存在する要素を抜きに考えては正しい答えは見つけられません。
今自分がネガティブな感情を抱えていることを自覚しましょう。感情はすぐに襲い掛かってくることはありません。むしろ何もしないで距離をとることで大人しくなります。慌てず騒がず、自分がどんな感情を持て余しているのか、を考えて受け入れましょう。
②自分の感情を観察する
感情は常に変化します。
空の雲が常に動いて形を変えるのと同じです。
いつの間にか消えてなくなったかと思ったら、全然違う方向から大きな雲=感情がもくもく膨らんだりします。
その繰り返しです。
楽しい気持ちも一定じゃないし、ネガティブな感情も同じです。
ただ、ネガティブ感情は「一刻も早く消えて無くなれ~!」と念じながら抱えているから、同じ1時間でもすごく長く感じてしまうだけです。
不安でじっとしていられないとき、不安を一番強く感じている場所を特定しましょう。
お腹か、胸か、のどか、指先か。
特定したら感情とセットになった部位をじっと観察します。最初は震えているかもしれません。しかし観察し続けているとそれが少しずつ収まっていきます。
先述したように感情は放っておくと早く大人しくなってくれます。
自分の感情の、誕生から消滅までの流れを観察しましょう。
③自分の感情に対処する
バーっと盛り上がっていたネガティブ感情が大人しくなってくれたら、心身に活動する余裕が戻ってきます。
その余裕を、すぐに問題解決に回さず、先にセルフケアに使いましょう。
■ゆっくり深呼吸×5回
■常温の水をコップ1杯ゆっくり飲む
■窓を開けて空気を入れ替える
■5分間散歩する
ネガティブ感情は少なからず私たちのメンタルを食いつぶしますから、損なわれた部分を補修しましょう。
感情を認識して受け入れ、観察し、収まった後のケアをする流れが自分の中に定着すると、ネガティブ感情の発生を恐れることが減っていきます。
3.自分との向き合い方② 自分と対話する
①自分の「内なる声」はなぜ重要か
内なる声、と聞くと若干ファンタジーめいて聞こえるかもしれません。
内なる声とは、「インナーボイス」とも言います。
人は生まれてから少しずつ言語を学習します。最初は親の言う言葉を鸚鵡返ししながら、少しずつ自分のものにしていき、成長するとともに習得した言語を使って自分の中で声に出さない声で思考を構築していきます。
大人になると自然と出来てしまうことなので、あまり意識していないかもしれません。
誰に話すでもなく途切れず続く「内なる声」は、自分のものの考え方を強く反映しています。普段の発言や行動の源泉でもあります。
言ったこと/やったことだけにフォーカスしても、その源=内なる声がどうなっているか、が分からなければ問題解決は難しいです。
自分自身の内面で繰り返される思考・声に耳を傾けましょう。
②自分自身と対話することで自分の本音が見えてくる
内なる声、自分自身の対話、と言っても「どうやって?」と思いますよね。
方法の1つは、質問です。
自分が強い不安を抱えていてどうしたらいいか分からない、早くこの不安から逃れたいとお持っている時。
■何がきっかけで不安を感じ始めたの?
■不安って、何を怖がっているの?
■その不安に一緒に取り組んでくれる人はいないの?
など、もう一人の自分が目の前にいるかのように想定して質問を繰り返してみましょう。
筋道を立てる必要はありません。
1つの質問からどんどん枝分かれして、「不安」から離れてしまってもいいのです。
最初は不安が問題だと思っていたけれど、質問を通して自分と対話を続けるうちに全く違う「本当の理由」にたどり着くことがあります。
それが自分の本音かもしれません。
③自分の成長に気づくことが出来る
何度か自分自身との対話を続けるうちに、自分の思考や行動の「パターン」に気づくことがあります。
毎回違う問題に突き当たっているつもりが、実は同じことを繰り返していた結果かもしれません。
まずは自分のパターンに気づくことが大事です。
そしてそのパターンは、そう簡単には変化しないでしょう。
同じパターンを繰り返し、その都度自分自身と対話を続けることで、対話の中で得た気づきがパターンに変化を起こし始めます。
その変化が、そのうち自分の成長と感じられるような上昇カーブを描き始めます。
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4.自分との向き合い方③ 過去の自分と向き合う
①過去の出来事と直面する
自分自身と向き合う時、ネガティブ感情と同じくらい向き合いたくないのが「過去」です。
特にトラウマと呼びたくなるような衝撃的で不快な過去は、出来ることなら向き合いたくないでしょう。その過去が更に別のネガティブ感情を呼び起こすからです。
医学的にPTSDと診断されるレベルを除いて、過去と向き合うことを回避することはあまり得策とは言えません。
向き合い方①でネガティブ感情の扱い方を身につけました。これを思い出しながら、感情がすぐに襲い掛かってくるわけではない、時間が経てば消滅することを念頭に置きながら、過去起きたことを振り返りましょう。
②過去と向き合うための勇気=モチベーションを作る[/中見出し]
思い出すことを拒否したくなる過去とあえて向き合う、となると、やはり勇気が必要です。
この場合の勇気とは、過去を打ち倒す、というよりも、過去と向き合うことへのモチベーションです。
嫌な過去は嫌な過去で、変えることは出来ません。見方や印象を変えることは出来ますが、すぐに出来ることではなく、どちらかと言うと色々頑張った結果として得られる成果です。
勇気の代わりとなるモチベーションは、「〇〇を乗り越えるためにはこの過去と向き合うことが役に立つ」と確信できる理由です。
目的地=辛い状況の解消のために、過去と向き合うことを材料にしましょう。何かヒントがあるかもしれません。
③自分が出来ていたことを思い出す
過去の自分と向き合う中で、必ず忘れていた実績や成功体験を思い出すことが出来ます。
もしかしたら体験した当時の自分にとっては実績とは思えないような内容かもしれません。
しかし「今」の自分の目から見れば、立派な実績・成功体験かもしれません。
パートナーがうつ病になる前は、自分が欲しいものや行きたい場所があれば遠慮なく伝えることが出来ていたのに、今はパートナーの症状にばかり配慮してそれが言えなくなっている、という場合。
「前は病気じゃなかったから」というのももちろん大きいですが、それだけでしょうか。
条件が揃えば今でも自分の要望を相手に伝えることは出来るはずです。その条件とは何か、は、過去の自分に隠されています。
相手の状態、周囲の環境だけでなく、自分の状態も関わってきます。
「あの時出来ていたんだから今も出来るかもしれない」
と思えることが必要です。
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5.自分の未来を想像する
①自分の内面から得た要素で、「なりたい未来」を想像する
これまでの取り組みで
■自分なりのネガティブ感情の取り扱い方がわかった
■自分と対話して本音に気づくことが出来た
■過去の自分と向き合って「出来ていたこと」に気づけた
と思います。
これらを材料に、「なりたい未来」を想像してみましょう。
②「今」は「なりたい未来」までの道の途中
辛い状況で出口が見えなくなっている時は、どうしても「今(辛い状況)が終わること」ばかり考えます。
それは例えれば濃い霧の中でもがきながらただ歩き回って霧が出ていない場所を探しているようなものです。いつどんな場所に出られるか全くわかりません。
今は、終わらせるもの、ではなく、自分が「なりたい」と想像した未来へ向かうプロセスの一つと捉えましょう。
道を歩いていたら突然濃い霧に囲まれました。何も見えず不安です。でも目指す方向が分かっていれば、そちらへ向かって少しずつ足を進めることは出来ますよね。
③自分と向き合って得た実績や強みを活用する
自分と向き合う取り組みの中で、忘れていた実績や自分の強み、周囲のサポートを思い出すことが出来ます。
これはなりたい未来へ向かうための武器です。
アニメの主人公が剣士なら、剣を使って戦って先へ進むでしょう。軍師なら策略を巡らせて危険を回避します。
それと同じように、自分自身の強みを活かした対策を講じることが出来るようになります。
④未来の自分を想像することで「自分軸」が分かる
辛い状況で回りが見えなくなっていると、「どうすることが正しいのか」の答えを必死になって探すようになります。
失敗して今より辛い状態になるのはご免だから次は必ず正解を選びたい、と考えても不思議ではありません。
しかし、自分と全く同じ人間が全く同じ境遇で全く同じことに悩んだ事例がないなら、正解を探すことはほぼ不可能です。
それよりも、自分と向き合うことで見えてきた本音を掘り下げて「自分はどうなりたいのか」「どうしたいきたいのか」を考えてみましょう。
それこそが「自分軸」です。
自分軸のメリットの一つは「リアルさ」です。自分が思う「なりたい未来」を自分が構築するのですから、何が出来るか、どうすればいいか、何を活用したいか、をリアルに想像することが可能です。
二つ目は「実践しやすい」ことです。リアルに想像出来た対処方法を自分自身が実行するのですから、当然ですよね。
6.すぐにできる自分と向き合う方法 3選
①日記
その日あったこと、それに対して自分が何を感じたか、その後何をしたか、を、出来れば手書きで書き残しましょう。
そしてたまに読み返しましょう。
自分がやったことなのに、1ヶ月前のことすら忘れていることに気づきます。そして思い出すことで新しい気づきが得られます。
②自己肯定的な表現
辛い状況にあるときは自分に対してネガティブになりがち、と最初にお話ししました。
自分に対して「~すればよかったのに」「どうして~を失敗したんだ」と責めてばかりいてはメンタルが凹むばかりで状況に対処する余力はわいてきません。
「あの時はあれしか思い浮かばなかった」「失敗というか、想定していた結果にならなかっただけだ」と見方を変えて自分を肯定しましょう。
そうすることでメンタルが安定し、自分と向き合う余裕が生まれます。
③感情を書き留める
日記とは少し違い、自分の中に湧いてくる感情を表現するフレーズを書き留めておきましょう。
「どうしよう…」
「うまくいくかな…」
「考えすぎかな?」
「どうしたらいいんだろう」
こうした言葉がよく出てくるとしたら、自分が支配されやすい感情は「不安」です。
不安への対処方法や、不安に纏わる言葉を思い浮かべるときの状況に対処する方法を工夫することが、辛い状況を解決する効率の良い方法になるでしょう。
7.まとめ
辛い状態にあるとき、自分自身と向き合うのは勇気が必要です。
「自分のことよりもっと他にすべきことや配慮すべき人がいる」と考えてしまうケアラーは多いのではないでしょうか。
しかし、辛い状態をどうにかしようとしているのは、まさしく自分自身です。
自分に出来ること、過去やってきたこと、気を付けるべきポイントを知らないままでは辛い状態を乗り越えることは難しいです。
そして辛い状態と向き合う時一番に必要なモチベーションが不足します。
「こういう未来になりたい、だから今の困難をこういう方法で解決するんだ」
と、自分が一歩踏み込むために、自分と向き合って内なる声に耳を傾けましょう。
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