感情労働の悩みと対策
-自己愛とストレングスの再発見-
「何となく落ち込む、自分はダメだと思う、そう考えるのも良くないと分かっているけど…」
と、心が弱ってしまうときありますよね。自己否定も追加されてダブルパンチです。
そういう時こそ「自分を愛するケア」が効果を発揮します。
弱さを受け容れて、心を修復し、自信を取り戻すステップをご紹介します。
1.心が弱っている→自分を愛する状態へのステップ
①心が弱って辛い状態
何か大きな出来事や問題が起きたわけではなくても、日々の生活の中で降り積もっていくストレスを解消できないまま抱え込んでいけば、ただの疲労とは呼べないような重荷となっていきます。
- 寝ても寝た気がしない
- 朝からため息が出る
- 気が付くと下を向いて歩いている
- 楽しいことを想像しづらい
ような変化が現れてきて、些細な刺激や変化に過敏にネガティブに反応するようになります。
②辛さの受容
心が弱ってるときは、小さな変化や刺激にも強くショックを受けたりすぐに復活出来なかったりします。
大したことないのにどうしてこんなに気になり続けてしまうんだろう、気にしてはいけない、気にする自分がおかしいのだ。
と考えて、傷ついている自分の心ごと蓋をしようとしてしまいがちですが、逆効果です。
辛い感情が中々消えない「のはいけないこと」なのではなく、中々立ち直れない「ほど心的エネルギーが枯渇している」のです。
エネルギーが無い中でも頑張って日々の生活を回している自分を、慰めて励まして、辛い感情を受け容れる余裕を作りましょう。
③心の修復
辛くなっている自分を受け容れることが出来ると、「どのように辛いのか」を理解することが出来るようになります。
- 不安
- 悲しみ
- 喪失感
- 怒り
- 恥
自分が抱えている辛い感情の種類を突き止めることで、修復方法を探すことができます。
④自分の強さの再発見
辛さの正体を突き止めて修復を試みる中で、本来自分が持っていたスキルや力を思い出すことができます。
辛い感情は受け容れて正体を突き止めたとしても、辛いことに変わりありません。
辛い状態からは早く抜け出したいと考えるのが人間です。
だから必死で心を修復しようとします。
その「必死で取り組む」プロセスで、忘れていた自分の強み、長所、特技、過去の成功体験を思い出すことが出来るのです。
⑤自分を愛する
辛さから抜け出すための取り組みの中で、自分が前から持っていたストレングス(強み、長所、特技、過去の成功体験+環境のプラス面)に気づくことで、自分で自分を愛する、大事にする、労わる気持ちが蘇ってきます。
自分で自分を愛することが出来れば、辛い状況で心が弱るほど頑張って来た自分のお尻を更に叩くようなことはしなくなります。
弱った心は自分を愛することで元へ戻る力を取り戻せるのです。
では次に、このステップをもっと詳しく見ていきましょう。
2.自分の辛さを受け容れる方法
①自分の思考・感情・思いを言葉にする
自分の辛さを受け容れる為には、「何がどう辛くてそれをどうしたいと思っているのか」を知ることが有効です。
くるっとひとまとめに「しんどい」としか思っていないままだと、どこから手を付けていいか分からないからです。中身を細かく見ていく必要があります。
おススメの方法は「ジャーナリング」です。
ジャーナリングとは、頭に浮かんだことをそのまま文章として紙に書く作業です。「書く瞑想」とも呼ばれます。
やり方は以下の通りです。
1)ノートとペンを用意する
2)落ち着ける場所に移動して、3回深呼吸する
3)テーマを決める(例:今一番辛いことは何か)
4)10分間、テーマについて書き続ける。10分経つまで手を止めない
5)10分経ったら手を止めて読み返す
実際にやってみると、書きながら色んなアイデアや感情が沸きあがるのを実感します。それが「細かく見ている中身」です。
②感情は自分自身よりも小さい、と知る
自分で自分の感情を持て余してしまうとき、感情に自分自身が飲み込まれてしまいそうに感じていませんか?
何をしていても同じことばかり考えてしまい、気持ちの逃げ場がないと、感情=辛さは自分よりはるかに大きく、太刀打ち出来ない魔物のように思えてしまいます。
ですがそれは間違いです。
感情が大きいのではありません。
辛い感情を受け容れる余裕が、今は無いだけ、なのです。
空いている電車なら普通に乗れますが、満員電車ならたった一人の乗客すら追加で乗ることが出来なかったりしますよね。それと同じです。
感情は、所詮自分の脳(視床下部)から出てきたものですから、自分より大きいということはありません。
ただし、小さくても自分に受け容れる余裕が無ければはじき出されてしまいます。
感情を恐れず、余裕を作ることを優先させましょう。
余裕は、心を修復することで広がっていきます。
3.心を修復する方法
①自分を慰めて慈しむ
マインドフルネスは今では広く知られています。
マインドフルネスとは、「マインドフルな状態」を指します。具体的には「過去や未来ではなく、今・ここで起こっているものごとを体験し、ただ目の前のことに集中する状態」です。
マインドフルな状態になると、自分の疲れて傷ついた辛い心に対し、「良い・悪い」「正しい・間違っている」という判断を加えることなく、受け止めることが出来るようになります。
マインドフルネスの良いところは、過去や未来を除外出来ることです。
人は意識しなければ、過去への反省と未来への不安ばかりに囚われて「今」を考えません。
疲労やストレスでじわじわと心が弱っているのに、それを放置してしまうのも、過去へのこだわりや未来への不安に思考が奪われてしまうせいです。
今自分が感じている辛さにだけ集中しましょう。
上述したジャーナリングもいいですし、マインドフルネスストレス低減法の一つの「身体スキャン」もお勧めです。
深呼吸しながら、意識を頭のてっぺん→顔→首→肩・腕→胸→腹・腰→脚→つま先、と、身体をスキャンするように辿っていきます。
するとどこかでスキャンが止まります。
人によって色々です。胃だったり、肩だったり。
そこに意識を集中することで、痛みや辛さと向き合うことが出来ます。
痛みを和らげる方法も思いつくでしょう。
②「やらないことリスト」を作る
やることリスト(ToDo)は仕事などで毎日作っているかもしれません。
しかし「やることを考える」ことばかり得意になって、気づいたら「やることだらけ」の毎日になっていませんか?
それでは時間も心も余裕が無くて当然ですよね。
休日や夕食後など、少しまとまった時間に「やらなくていいことリスト」を作ってみましょう。
タスクをまるっと除外するのでもいいですし、頻度を下げるのでもOKです。
例えば毎日入るお風呂も、疲れてしんどいなら2日1回とかにしてもいいんじゃないでしょうか。
その分の時間を趣味の時間にあてたら、楽しい気分でベッドに入れますよね。
4.自分の強みを再発見する
①ストレングスの発見
ストレングスとは上述したように、自分の強み・特技・長所・環境要因です。
強みや特技というと、履歴書に書くような「スゴイこと」でなければいけない、と身構えてしまうかもしれませんが、違います。
例えば「30歳、女性、都内の企業に正社員として勤務して5年、実家暮らしで電車通勤している」という方を事例として考えます。
30歳→所謂「成人期」に入ったばかりで、心身が一番充実している時期
女性→一昔前より活躍できる場が増えている
都内の企業→平均給与が高い
正社員→雇用が安定している
勤続5年→慣れた環境で働けている
実家暮らし→生活コストがかからず、親と同居だから病気しても安心
電車通勤→通勤中の時間を自分の好きに使える
これが「ストレングス」です。
最近気持ちがふさがって明るい気分になれず辛い、という時も、これらのストレングスに気づくことで
『しんどいけど、会社でどうやって暇作って休憩すればいいか自分で調整できるし、申し訳ないけど親に頼めば朝起こしてもらえるし、家のことに時間取られることも無いから、そんなに不安ばかり強める必要はないんだ』
と考えることが出来ます。
また、趣味も「強味」になります。
趣味とは興味+楽しさ+得意が3つ重なっています。
無理せず自分のパフォーマンスを発揮できる場、とも言えます。
自分の力を十分に発揮できる場は、自分への自信を取り戻してくれます。
②過去の「乗り越えた経験」を思い出す
ウン十年生きていれば、落ち込んだこともショックを受けたことも何か失敗したことも一度や二度ではないはずです。
そしてその都度乗り越えてきたはずです。
乗り越えたり対処してこれたから、今があります。
忘れているかもしれない過去を乗り越えた経験=成功体験を思い出しましょう。
それこそ物覚えがついただろう2~3歳くらいから自分の歴史を辿り直しましょう。
小学校で友達とケンカしたとき
中学の部活の試合で負けたとき
高校時代の失恋
大学に落ちたとき
上司に叱られたとき
同期が先に出世したとき
その時どうやって自分の気持ちと向き合ったでしょうか。
思い出せたら、同じことを試してみることができますね。
5.自分の価値と軸を再確認する
①自分の軸を思い出す
自分軸というキーワードも最近はよく耳にします。
自分の思考・行動・今後の計画を考えるときに一本筋が通っていると、迷うことも減り、失敗したとしても見直しがしやすくなります。
別の表現をすると、信条・ポリシー・座右の銘、などですね。
これは、それこそ人それぞれです。
『初志貫徹』な人もいれば『変幻自在』を旨とする人もいるでしょう。
ポイントは「自分自身が良いと信じられるもの」です。
自分の軸なのに、「世の中的には」を考えると必ずストレスの素になります。
②自己評価を見直す
自分の辛い感情を詳しく分析し、受け容れて、辛い中頑張って来た自分を慰め、強みを再確認出来たことで、今の自分をどう評価しますか?
評価、と言うと点数をつけたくなるかもしれませんが、点数は止めておきましょう。恐らくかなり厳しい点数になってしまいます。
今の自分を初対面の人に「他人として」紹介する、と考えてみましょう。
相手はあなたのことを何も知りません。
どんなふうに紹介しますか?
恐らくたくさんの「形容詞」を使うのではないでしょうか。
努力家、時間を守る、綺麗好き、ムードメーカー、仕事が早い、可愛いものが好き、優しい、物知り、など。
きっととても素敵な人物像が見えてくると思います。
6.すぐできる身体ケアで下地を作ろう
弱っている心を、心だけで元気にしようとすると堂々巡りになります。
まずは身体のケアから取り組んで、身体を正常化させることで心の余裕を作る土台を作りましょう。
①睡眠ケア
睡眠は身体とメンタルの健康の源です。
身体をリラックスさせて柔らかい寝具に横たえることで、身体の疲労だけでなく心もホッとすることが出来ます。
身体から緊張が抜けることで睡眠モードに切り替わります。
睡眠中に脳は情報整理と疲労回復、ホルモン分泌を促進します。
1日6~8時間、出来れば途切れることなくまとめて眠れるようにしましょう。
②セロトニンケア
セロトニンとは脳内神経伝達物質のひとつで、精神を安定させる働きをします。
セロトニンは日中の食事で摂取したタンパク質を元にして、睡眠中に脳内で分泌されます。
正常に分泌されることで、平常心を保ち、必要な場面で集中力を上げ、抗ストレス作用もあります。
日光に当たることも分泌を促す働きがありますので、天気がいい時は外を歩くようにしてみましょう。
③水分補給
私もそうですが、昼間にデスクワークをする人は、ついコーヒーやお茶など、カフェインが含まれている水分を多く摂取しがちです。
カフェインは覚醒効果もありますが利尿作用があるため飲み過ぎると体から必要な水分まで排出してしまい、血行に影響してしまいます。
血行が悪化すると脳に必要な酸素が行きわたらなくなり、脳の働きが悪化します。それでも無理に働かせようとすると、当然普段より疲労が強まります。
1日1.5~2リットルのミネラルウォーターを、少しずつゆっくり摂取することで、血流が安定して脳内の酸素量が安定し、本来のパフォーマンスを発揮できるようになるのでおススメです。
7.まとめ
①弱った心を自分で愛するまでのステップは、辛い→受容→修復→強さの再発見→自分を愛する
②辛さを受け容れる方法は、言語化と感情の見直し
③心の弱りは、自分を慰め慈しみ、不要なタスクを減らすことで修復出来る
④自分の棚卸をすることで強さを再発見できる
⑤自分が「良い」と信じる自分軸を立てて自己評価をし直すことで、自分を愛することが出来る
⑥まずは睡眠・セロトニン分泌・水分補給で体の正常化を目指す
「未病」という概念があります。
「発病には至らないものの健康な状態から離れつつある状態」のことです。
「心が弱っていることを自覚した」ときとは、心の未病状態です。
この時点で「まだ平気」と無理をするのではなく、自分に出来る対策を取ることで、適応障害やうつ病などのリスクを下げることが出来ます。
そしてもしこうしたセルフケアに取り組む意欲もわかない時は、速やかに専門医を受診しましょう。
受診した結果問題ないと医師から診断してもらえれば、それもまた成果の一つです。
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