自己肯定感が低いときは
誰でも一つや二つはコンプレックス、欠点を持ってます。人から見てどうかは関係なく、自分で「私の欠点はこれだ」と思えばそうなのです。
だからコンプレックスは人それぞれ、十人十色。
それゆえに「このことで苦しんでいるのは自分だけだ」という考えに繋がり、孤独や無力感で二重に苦しみます。
しかし、コンプレックスは皆と繋がるため、更にはセルフケアのタネなのです。
1.コンプレックスは辛い
コンプレックスとは、欠点とか苦手意識とか過去の嫌な体験からくる感情だったりして、それを意味するものはみな違うと思います。
さらに「複合的」という意味もあります。
苦手だけど克服したい、けどその前にやらなくてはいけない・乗り越えなければいけないものがある、とか、忘れたいけど忘れたくない、とか。
相反する力が働くことで、コンプレックスの存在そのものがストレスになります。
2.コンプレックスは有害?
どうしてコンプレックスに感じているのか、自分の力ではどうしようも出来ないと感じてしまうのか、を考えると、この世で自分だけしか感じていない固有の問題のように思えてきます。
- 他の人は悩みがあっても、きっと不自由を感じているだろうに、どうしてあんなに明るく行動出来るんだろう。
- 同じように出来ないのは、コンプレックス以前に自分が人より劣っているからだ。
- 相談したところで、くだらないと思われて相手にされないかもしれない。
- だからやっぱり自分でどうにかしなければいけないけど、出来る自信がない
固有化することでどんどん深みにはまって孤独感が増していきます。
固有化・個別化そのものは、悪いことではないと思います。
それを自分の「個性」と捉え、良い悪いではなく「活かし方」を見つけられたら、他者と比較する沼からも抜け出せるし自分だけの強みにも育てられるし一石二鳥です。
コンプレックスの固有化が孤独へ発展してしまうと問題なのです。
3.コンプレックスは自分だけのもの?
例えば「太っている」ことをコンプレックスに感じているAさんがいるとします。
誰かに相談すれば「ダイエットすれば?」と言われることがほとんどでしょう。
それはAさんも分かっている。
けれど仕事が忙しくて食事の時間や内容が不規則に偏りがちで運動する暇もない。
無理にダイエットして体調を崩したら仕事に影響する。
だから今はダイエットをしている場合ではない、と考えて後回しにする。でも体型は気になって仕方がない。お客さんの前に出るのも次第に苦痛になってきた……。
この時、「太っているけどダイエット出来ない」という内容だけに目を向けると、コンプレックスは固有化します。
しかし、コンプレックスから生まれた
- どうにかしたいけど出来ない自分の現状への不満
- 仕事が苦痛になってきた辛さ
- 辛さを人に理解してもらえない寂しさ
という「体験」はどうでしょうか?
もう一人「お金が無い」ことにコンプレックスを感じているBさんがいるとします。
Aさん同様に
- もっと高収入の仕事に転職したいけどすぐには出来ない現状への不満
- お金にならない仕事を続ける辛さ
- 恥ずかしくて人に相談出来ない寂しさ
は共通しています。
コンプレックスの内容ではなく、そこから起きる体験に注目することで、「辛いのは自分だけじゃない」という連帯感を感じることが出来るのです。
4.連帯感と「傷のなめ合い」は違う
似たような境遇(この場合は体験)を持つ人同士がつながることへ、「傷のなめ合いだ」と揶揄する言葉も聞かれます。
しかし傷のなめ合いが「みんな一緒だからこのまま、出来ないことがあっても大事なものから目を背けてもいいんだ」になった場合は問題かもしれません。
正しいか間違っているか、ではなく、長い目で見てその人の利益にならないからです。
しかし、
「自分だけが辛いわけじゃない、皆同じような経験をしている、それでも頑張っている。自分以外の人が楽に生きていると羨ましがるのは違うんだ」
と気づけたら、どうでしょうか。
コンプレックスの内容(太っている/お金がない)は違っても、「辛い、不満だ、どうにかしたい」と藻掻く気持ちには共感出来ます。
そして「どんな人も完璧ではない」と実感出来ます。
誰もが完璧ではない、出来ることと出来ないことがあり、失敗もするしネガティブ感情に苦しむこともある、と実感することで、自分に対して優しくなれます。
コンプレックスを通じた連帯感は、自分への優しさ/セルフ・コンパッションを生んでくれるのです。
5.まとめ
- 相反する力が働くコンプレックスの存在そのものがストレス
- コンプレックスが孤独へ発展してしまうと問題
- コンプレックスの内容ではなく体験に注目することで連帯感が生まれる
- 他者との連帯感は、自分への優しさを生む
コンプレックスから生まれた体験を自分への優しさまで育てることが出来れば、孤独感と辛さが薄れます。気持ちが落ち着いてやるべきことが見えてきます。
「自分は辛いのだ」と、体験に気づくことから始めましょう。
<参考文献>「セルフ・コンパッション」クリスティーン・ネフ著、金剛出版