自分を美点凝視する
不安が強いと、人は何もできなくなります。
心臓がどきどきして、体が震えたり、手に汗をかいたり、他のことが考えられず集中出来なかったり、胃腸が痛くなったり。
こういう時はどうやって過ごせばいいでしょうか。
1.不安が強い時の反応
不安が強い時、心身の状態は悪いことだらけです。
だから不安を感じ始めた途端、すぐに打ち消そうとするし、不安のきっかけになりそうな要素は避けようとします。
しかし完全に打ち消すことは出来ないし、「きっかけになりそうな」ことを全部避けようとすると必要なことも出来なくなります。
そして前よりもっと不安のことばかり考えるようになって、「自分には手に負えない」と無力感も強めてしまいます。
2.不安とは何だろう?
そもそも「不安」という感情の正体は「自分を危険から守るため」に備え付けられた信号のようなものです。ですからそれをゼロにしたり、消すことは無理なのです。
不安の役割は命を守ることが目的だから、主体=自分に危険を自覚さえなければいけません。
だから心臓をドキドキさせたり、体を震えさせたり、他のことを考えさせないよう、不安にだけ集中させようとします。他のことを考えることを許しません。まるで泣き叫ぶ赤ちゃんのように。
泣いてむずがる赤ちゃんを放置すると、大人の注意を引こうとして更に大きな声で泣こうとするでしょう。どんどん手に負えなくなっていきます。
こういう時、大人がとるべき行動はなんでしょうか?
それは相手をすることです。泣いている事実に気づいてやることです。そうすると少しずつ鎮静化していきます。
不安も、「怖いよ、こっちに気づいてよ」と言っているとしたら、まずは不安の存在を認めて、無理に「無いこと」にしようとしないようにします。
3.不安と恐怖の違い
不安とは、大抵はその原因がはっきりしない感情です。だから不快だし、逃げたくなるし、「無いもの」として扱おうとしてしまいます。
不安の元が何かしら分かっている場合は「恐怖」です。恐怖には対象がありますから、対処方法を考えることが出来ます。
家族の具合が良くないなら週末に病院の予約をいれる。近所に空き巣が頻発しているなら防犯対策を増やす、のように。
4.正体不明の不安は問題の複合化
正体が分からないのに、ふとした時に不安が高まって弱まらない、ずっと不安を感じ続けてしまって辛い、という場合、不安は、様々な不具合の原因として生じた症状である可能性があります。
例えば過労、心的ストレス、緊張が続いている、体調不良など。
こうした問題が積み重なって余裕がなくなってキャパオーバーしたことで、「不安」感情が代表してSOSを告げているのです。
だとすると、不安感情だけを打ち消そう・否定しようとすることは、あまり有効とは言えません。不安信号の元は別のところにあるのです。
5.生活を棚卸をしてリズムを崩そう
上記のケースでは、今の生活を大雑把にでも棚卸するといいでしょう。
ここ1ヶ月程度を振り返り、「もしかしてアレかな?」という、生活を圧迫している要素があるはずです。
必ずしもネガティブなものとは限りません。自分が直接関わっていることでもないかもしれない。むしろ、直接手を下せないようなテーマかもしれません。
思いついたものが、直接手を下せるものなら、小さいことでも動いてみるのもいいでしょう。
何も思いつかない、または手を下せない問題だとしたら、そのことからは一旦離れましょう。
そして、何でもいいから生活の一部を変えましょう。全く関係ないものでいいと思います。
例えばお昼ご飯をいつも一人で食べているとしたら、誰かと一緒に食べる。
週末の飲み会を断って早めに帰る。
やったこと無いゲームを徹夜でプレイする。
徹夜とか、食事を抜くとか、人との交流を断つ、ということは、基本的にはあまり推奨されない行動かもしれません。しかしこれらはしょっちゅうやるからよくないのであって、分かった上でたまに1回だけやるならそれほど害はありません。
むしろすっきりして何か吹っ切れるかもしれません。
6.ポジティブ思考は無理しない
逆にあまり効果が期待できないのは、具体性を持たないポジティブ思考です。
「とにかく明るく物事をとらえよう」としたところで、そもそも「考える」エネルギーも余裕もないのですから、成功するはずはありません。
むしろ「ポジティブになれず不安なことばかり考えてしまう」自分にガッカリして、不安の上に自己嫌悪まで積み重ねてしまいます。
7.まとめ
①不安は自分へのSOSだと心得て、無視しない
②今の生活を圧迫しているものを見つける→何か1つ対処行動をとる
③何も思いつかないなら、生活リズムを崩してみる
④具体的な行動と結びつかないポジティブ思考は不要
例えば風邪をひいて熱が出た時、「昨日薄着したからだ」と原因が分かっても、熱は下がりません。
不安などネガティブ感情も同じです。「
なぜ」よりも「どうしたら楽になるか」に注力して、不安と一緒に過ごす方法を工夫しましょう。