ネガティブ感情のせいで冷静になれない
何もやる気が出ないというのは、意外としんどいものです。
疲れていれば寝るとか休むとか「やること」はある。
やる気が出ない時はそれすら気が向かない。
でもやらなければいけないことはある。
やる気が出ない時の自分をどう受け止めればいいでしょうか。
1.無気力状態とうつ病
無気力症候群という状態があります。
「意欲が低下したり、自発性が低下したり、感情の起伏が小さくなったり、周囲に無関心になったりするような無気力な症状を呈することを「無気力症」「無気力症候群」「アパシー・シンドローム」といいます。これらの反応は、強いストレスから心を守るための逃避行動だとも言われています。」
(厚生労働省 e-ヘルスネット)
何もしたくない、感情の起伏が少ない、無関心などはうつ病と似ていますよね。
実際、うつ病の兆候として無気力状態が見られることもあります。
ただし、うつ病のような気分の落ち込みや希死念慮は見当たりません。
でもうつ病ではないからといって放置していいものでもありません。放置すればうつ病に繋がるリスクも当然あります。
うつ病なら病気ですから、病院へ行って診断書を出してもらって休職し休養することも出来ます。抗うつ薬を処方してもらうことも可能です。
でも無気力はそれだけでは病気ではありません。状態に過ぎないので治療薬もありません。
カウンセリングや精神療法で改善を望めますが、何せ「無気力」ですので、そうした治療に取り組む意欲もありません。
更に、無気力=本人の怠惰、努力不足では、という世間の目が追い打ちをかけていきます。
何より本人がそう思って自分を追い込んでいきます。これはうつ病とよく似ている状況です。
2.多大な努力と挑戦の結果が無気力
無気力に関するもう一つの用語があります。「学習性無力感」です。
学習性無力感とは、「自分の行動が結果を伴わないことを何度も経験していくうちに、やがて何をしても無意味だと思うようになっていき、たとえ結果を変えられるような場面でも自分から行動を起こさない状態」のことをいいます。
(光村図書)
人が行動したり努力するのは、その先に目的があるからです。
試験に合格したい、とか、親から褒められたい、上司から認められたい、結婚したい、など。
目的を果たすために、自分で「これがいい」と思う方法を色々試すでしょう。
しかし、どう頑張っても目的に到達できないことがあります。
そもそも目的が無謀だったり、過重だったり、対人問題であれば相手の意向や事情もありますから、努力の結果がそのまま反映されるとは限りません。
どんなに辛い、苦しい、もう無理、助けて、と泣いて叫んでも誰も助けてくれないし見向きもしてくれなければ、泣くこともSOSを出すこともしなくなります。
その結果が「無力感」です。
これは、怠惰でしょうか。努力や気合が足らないのでしょうか。
決してそうではありませんよね。
3.心のエネルギー貯蔵は二重底
普通に疲れただけの場合は、逆に「○○したい/しなければ」とは思いません。寝たい、休みたい、好きなことしたい、など、自分を休息させる方向へ気持ちが向かっていきます。
疲れているのに、何かしなければ、でもやる気が出ない、という負のサイクルが起きている時は、普段通りの休息をとっただけでは回復出来ません。
心のエネルギーは二重底になっているからです。
そして、努力しつくして無気力状態になっている時の「疲れ」は、本来は使われずにとっておくべきエネルギーの貯蔵分まで使い果たしているのです。
寝たり食べたりリフレッシュして1日か2日で回復するのは、使うことが前提となっているエネルギー分です。
その更に奥にある貯蔵分を再び満たすためには、体を休息させただけでは足りません。
心のエネルギーが枯渇する理由は何でしょうか。
それは「自責感」です。
何もかも自分が悪い、自分が力不足だった、やっても無駄なんだ、自分は無力なんだ、と、目的を達成出来なかった原因の全てを自分に求めてしまった結果なのです。
「人のせいにするな」とはよく聞く言葉ですが、「自分のせいにするな」ってほとんど聞かないですよね。
だから皆、全部自分のせいにしてしまいます。全部自分だけが悪い状況なんて実はほとんどないはずなのに、自分を責める時間ばかりたっぷり取って、自分を責める語彙ばかり増えていきます。
心が回復する隙が無いのです。
4.やる気が出ない時の対処法
①体の異変に注意する
心と体は密接に関連しています。自分を責めて無気力になっている状態では、恐らく睡眠もとれずに食欲も落ちて、体も栄養不足になっている可能性があります。
そうすると血行不良を起こして免疫力が下がっている場合があります。
頭痛、腹痛、胃痛、肩こり、めまい、吐き気など、体に異変があれば、まずはそちらへ対処しましょう。自分であれこれ工夫する気力がなければ、そのまま病院へ行きましょう。お医者さんから大丈夫だよ、と言われれば安心ですし。
②環境を変える
形から入る、というのは結構有効な手段です。
無理に外出したり何かを始める必要はありません。
部屋を移動する、窓を開けて空気を入れ替える、服を着替える、枕の位置を逆にする、など出来ることを試しましょう。
いつもは食べないものを食べてみたり、違うコンビニで買い物したりするのもいいですね。
すぐにやる気が出なくていいんです。何かを変えることで、意外な影響が出ることがあります。
③徹底的に人のせいにしてみる
人のせい、といっても特定個人とは限りません。
天気が悪かったから、Aさんがたまたま休みだったから、Bさんの機嫌が悪かったから、仏滅だったから、とか。
無気力になっているときは自分にばかり目が行きます。そしてネガティブな要素を徹底的に洗い出そうとします。
それでは片手落ちです。人は何をするんでもまるっきり一人で成し遂げるわけではありません。必ず他者や環境が関わってきます。
自分以外の要素にも目を向けましょう。
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やる気が出ない時は、逆に「何もしないでじっとして、エネルギーが溜まるのを待つ時間」だと捉えましょう。
本来使ってはいけない分まで使い果たしてしまったのですから、仕方がありません。
そのうち少しずつ気持ちが動き始めます。その時が来るのを待ちましょう。
≪オンラインカウンセリング 惠然庵≫
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