仕事とメンタル不調 ①きっかけと理由
さて、仕事で負ったメンタル不調は、どのようにケアすればいいでしょうか。
仕事が理由の場合の特徴と、仕事特有の解決策をご提案します。
1.仕事のメンタル不調の特徴
仕事由来のメンタル不調には、いくつか特徴があります。
①ケアする暇がない
仕事をする上での悩みとして「業務時間・業務量が多い」というものがあります。
週5日、1日8時間が基本で、それより長時間働いていれば、仕事以外の時間がありません。
人は仕事だけしていれば生活できるわけではありません。
帰れば家事が待っています。お子さんがいれば育児もあるでしょう。介護をしている人もいるかもしれません。副業を持っている人もいます。
単純に、しんどくてもそれをケアする方法を考えたり、実行する暇がないのです。
②限定された環境の中でのストレスである
仕事とは、つまり特定の組織の中の部署の、限られたメンバーと一緒に行うものです。
どんな大企業でもこれは同じです。
そして年単位、十年単位でその環境と風土の中で繰り返していくものです。
「〇〇の常識、世間の非常識」みたいな言葉がありますが、それは特定の企業と世間一般においてもあり得ます。
そうしたズレを自分の中で調整しながら生活することへストレスを感じてもおかしくありません。
③数値化できる
仕事をする中で感じるストレス理由には、
- 業務時間、業務量への不満(長時間、多すぎる)
- 業務量が不公平(他の人より自分のほうが多いのでは?)
- 評価、待遇への不満
がありますが、これらはどれも数値化することが出来ます。
数字というのは不思議なもので、「10」と言われただけでは多いか少ないかはわかりません。
しかし隣の人が「13」と言われれば自分は少なく感じ、「8」と言われれば多いと感じる。
更に平均値を出したりパーセンテージにしたりすれば、印象はまた変化します。
そうした「見せ方」の違いで、ストレスに感じたりします。
2.どうやってケアするか
①暇がない時→まずは体調チェックから
ストレスが高じてくると、何かしらの体調異変として表面化します。
食欲が落ちる・増加する、眠れなくなる・寝すぎる、休日もリラックスできない、趣味が楽しくない、など。
どれも大事ですが、まずは確保していただきたいのが「睡眠時間」と「睡眠の質」です。
睡眠は、日中活動で疲労しきった体と脳を回復・修復する、欠かすことの出来ない生命活動です。
しかし現代は、睡眠を軽んじる傾向がまだ残っています。眠れない、という悩みも、誰もが持っているといっても過言ではありません。だから「眠れないのは自分だけじゃない」と、状況を軽く見て不調を見逃してしまいます。
睡眠に悪影響な要素は、「アルコール」「長時間の昼寝」「夕食食べ過ぎ」「寝スマホ」です。これらを全部やめましょう。
そしてどうしても睡眠を削ってでもやらなければいけないことがあるなら、夜11時くらいから90分だけ爆睡しましょう。そして起きてからやりましょう。
寝入りばなの90分は「睡眠のゴールデンタイム」です。ここは死守してください。
(「スタンフォード式 最高の睡眠」サンマーク出版)
②限定された環境→相対評価で自分を評価しない
会社・部署・チームという限られた環境にいると、どうしても目に映る人と自分を比較してしまいます。自分が比較しなくても周囲が勝手に比較します。「〇〇さんはすぐできたから(あなたも出来なきゃおかしい)」のように。
それが何かの目安になったり励みになるレベルなら問題ありませんが、誰かと比較することばかり繰り返していると、どうしても自分の長所に目がいかなくなります。
会社は、なぜかほめることをほとんどしてくれません。「〇〇さんはすごいよね」と第三者に言うことはあっても、〇〇さん本人に直接言うことはまれです。だから他人と比較されるとき、とは、自分が出来ていない部分を再認識される場面であることがほとんどになります。
出来ていない面ばかり認識されれば、当然自己評価は下がります。仕事は本来緊張の連続なのに、自分に自信を持てない状態で挑めばミスすることも増えていきます。ストレスが増えてしまって当然ですよね。
評価とは、他者と比較する「相対評価」と、比較をしない「絶対評価」の二種類があります。順位付けするのが相対評価で、こっちに慣れている人が多いです。
しかし本来人間の価値とは、誰かと比較する必要などありません。他者と違う長所は永遠に比較されないまま放置されることになります。せっかくの長所を自覚できないなんてもったいないです。
自分への評価は、絶対評価しましょう。比べるとしたら過去の自分か、未来の自分と比べるだけにしておきましょう。
③数値化できるもの→「不満」を探る
数字に現れるストレスや不調の原因には、「不満」の感情が結びついていることが多いです。
であれば、どうすれば不満が減るのか、を考えましょう。
自分と同じ立場の同僚と比較して、自分の仕事量が明らかに多いと感じて不満に思っているとしたら、「自分のほうが「多い」と感じていた部分の数値化」をしてみるのはどうでしょうか。
- 本当に自分のほうが業務量が多かった→「何故多いのか」理由を上司に相談する
- 数値化してみたら、不満に感じるほどの違いはなかった→様子見に切り替える
- 実は知らないところで同僚は他の業務で忙しかった→気持ちの余裕
として解決できるかもしれません。
また、明らかに違法なレベルの過重業務なら、不満に思っているばかりではいずれ心身の健康に悪影響を及ぼします。
数値化・資料化出来た時点ですぐ会社に改善を求めましょう。
3.メンターはいますか?
「メンター」という言葉をご存じでしょうか。
メンター(Mentor)は、日本語で「指導者、助言者」と訳されます。
ビジネスにおけるメンターは、自身が仕事やキャリアの手本となって、新入社員や若手社員に助言・指導をし、個人の成長や精神的なサポートする人を指します。
そして、指導やサポートを受ける側は「メンティー(Mentee)」と呼ばれ、メンターがメンティーに行う指導のことを「メンタリング(Mentoring)」と言います。
(GLOBIS CAREER NOTE)
会社は、20代~60代、場合によってはそれ以上までの幅広い年代の人が一緒に活動している場です。若手から見れば上は果てしないほどの「先達」がいます。
時代は違っても、自分が今経験している悩みを、過去に経験して乗り越えている人たちがわんさかいる場、ともいえるのです。
メンターは制度化している会社もありますが、そうでない場合は同じ部署の身近な先輩、出来れば同性の先輩・上司にアドバイスを求めるのが良いと思います。
ジェンダーは、働くうえではメリットとしてもデメリットとしても、大きな要素になります。
特に女性は、結婚した後、妊娠・出産・育児をする上でどうやって働き続けるか、会社と交渉するか、などは、経験談が一番役に立ちますし、心強いです。
4.休職・転職・退職・キャリアチェンジも選択肢に入れる
以前ほど転職がネガティブに取られない時代になったとはいえ、簡単に実行できるものではありません。
とはいえ、何があろうと今の職場に定年までしがみつかなければ、という時代でもなくなりましたし、しがみついたところでそれ相応のメリットもありません。
出勤できないほど心身の健康が損なわれたら、まずは休職しましょう。最大1年6カ月までは傷病手当金が支給されます。
それでも復帰するのがつらかったら、退職してゆっくり休養しましょう。
仕事が出来ないほどではないけれど、自分が頑張る場所はこの会社じゃない、と思ったら転職は全然アリです。「35歳限界説」も信じなくていいです。私は35歳以降で2回転職しました。どちらも正社員です。
やりたいことが変わったなら、業種・職種を超えたキャリアチェンジもいいですね。人は20歳前後でアイデンティティを構築し始めますが、40歳前後で再度見直す機会が訪れます。そのあたりで別の仕事をしたくなっても不思議ではありません。
生きるための仕事であって、仕事のために生きているわけではありません。
選択肢と視野は広く持って、自分の求める生き方を実現していきましょう。
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