自律神経をケアしてメンタルを整えよう ③リフレーミング
自律神経とは何でしょうか。
もちろんある程度のことは知っているものの、実際にはどんな内容で、体にどのように作用しているのか、心やストレスとどのように関わってくるのか、は、知らない方が多いかもしれません。
自律神経失調症という症状に代表されるように、崩れると体や心がしんどくなって生活に影響する、と言うことは分かっていますが、いざケアしようとすると何からすればいいのか分かりにくいと思います。
今回は
- 自律神経とは
- 毎日の生活で出来ること
- 心、認知(考え方)との関係
を考えてみたいと思います。
1.自律神経とは
『内臓諸臓器の機能を調節する遠心性機序と内臓からの情報を中枢神経系に伝える求心性の機序、という2つの系からなる末梢神経系。交感神経系と副交感神経系の2つの神経系で構成されている』
(wikipedia)
ものです。
心臓が動いたり、血液が循環したり、内臓が食物を消化吸収したり、暑さ寒さに対して体温調整したり、といった、生物が意識しなくても自動的に(自律的に)動いてくれる機能を支えている神経です。
だから普段はほとんど意識したり気にすることはないでしょう。
逆に自律神経について意識することがあるのは、それが正常に機能しなくなった時です。
寒いのに突然汗が噴き出してきたり、めまいや動悸がしたり。病気かと思って診てもらっても明確な診断名がつかない。あちこちハシゴした結果として「自律神経失調症」と言われる……。
ちなみに「自律神経失調症」とは病名ではありません。
自律神経が崩れてしまっていることで体に不調が出ている、という、症状を表しているものです。
原因としては不安や緊張が長く続いていたり、更年期障害の一つだったりと様々なようです。
自律神経が崩れていると日常生活を送ることも難しくなりますから、まずは動悸やふらつきへの治療が必要になりますが、自律神経が乱れた原因が生活リズムの乱れだとしたら、そこに手を入れなければ再発の可能性は十分あります。
うつ病と似ていますね。
うつ病は病名ですが、うつ病そのものを治療しても、そうなった原因が残っていれば、再発のリスクは高いです。
ですから症状を改善するだけでなく、その人固有の原因への対処が必要です。
その場合、医療だけでの対処は難しいでしょう。
職場との調整や、家族の協力、本人の認知を修正したり、体に出た症状以外への対処が回復へのカギになります。
2.交感神経と副交感神経の役目と関係
- 交感神経
- 副交感神経
の二つに分類されます。これも聞きなれている用語だと思います。
交感神経とは、活動の役割を担っている神経です。活発になると集中力が増して頭も体も動き回ることが出来ます。
副交感神経とは、休息の神経です。こちらが優位になると気持ちがリラックスして疲れた頭や体を休めることが出来ます。
どちらも生活する上で必須の機能ですが、どちらも過剰になるとデメリットがあります。
交感神経が過剰になると、イライラしたり緊張の度合いが強くなります。
副交感神経が働きすぎると、だるさが増して活動量が低下します。
どちらが良くてどちらが悪い、と言うものではありません。
バランスが取れていることが一番です。
ただし、現代社会ではどうしても交感神経を優位にする要素が満ちていて、休息を取ることが軽んじられる傾向にあるように思います。
なので交感神経が過剰になっていることのデメリットが浮き上がりやすく、結果として「交感神経は悪者」扱いされているのでは、という気がします。
交感神経が過剰になると、血管が収縮(縮まって狭くなる)します。そうすると血管内を通る血液量が減るので、血流が滞ります。血液は全身に酸素を送る役目を持っていますが、それが低下することになります。
続くと頭痛、肩凝り、腰痛になり、長期化すると脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。
精神面では脳への血流や酸素量が減ることで脳の活動が低下し、思考力・判断力が低下します。
頭痛を感じた時に、対処法として頭痛薬を飲んだりカフェインを摂取する方も多いと思います。
一時的に血管の収縮が緩和されるので、「これでOK」と思ってしまいがちですが、その場はOKだとしても、頭痛の裏に自律神経の乱れがあるのだとしたら、本当の改善とは言えません。
頭痛薬で頭の痛みは解消されても、血流が滞っていることは変わりありませんので、腸の働きが低下したり体が冷えやすくなったり、基礎体温が下がることで免疫機能が低下して他の病気にかかりやすくなる可能性があります。
ちょいちょい起きる不調は、「何かがオカシイ」という体からのサインです。
色んな原因が考えられますが、まずは毎日の生活と、思考方法を変えることで、自律神経を正常に機能させましょう。
それによって体と心の両方をメンテナンスすることが出来ます。
次回は「毎日の生活で出来ること」は何か、について考えてみたいと思います。
≪参考資料≫
「決定版!図解いちばんわかりやすい自律神経」小林弘幸 (監修)、河出書房新社、2021年
「眠れなくなるほど面白い 図解 自律神経の話: 自律神経のギモンを専門医がすべて解説」小林弘幸 (著)、日本文芸社、2020年
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