自分への優しさは?
恋愛もまた、仕事と同じくらい気分の乱高下が激しくなりがちです。
そして、仕事は「しなければならない」ものであるのとは反対に、恋愛は必ずしも必須ではありません。でも、自分の生活の中に恋愛があるのとないのとでは、毎日のハリが違いますよね。
恋愛関係の中で気分が落ち込んだ時、自分の心とどう向き合っていくか、を、考えてみました。
1.不安
恋愛は、雇用関係、夫婦関係、家族、などのように、法的な拘束力や保証は何も無い自由な関係です。
だからこそ楽しいし、逆に言えば安定することも少ないです。
- 相手がもう自分を好きではないのかもしれない。
- 他に好きな人が出来たのかもしれない。
- いまの幸せがいつまで続いてくれるのだろう。
- LINEの返事が普段より遅い
などなど。
他の人が相手なら気にもしないようなことが、恋人や好きな人相手だと重大問題になってしまい、心のバランスを失わせます。
明確な事実(他の異性との特別な交流など)がある場合は除いて、自分の不安を解消するために相手にだけ変化や約束を求めると、結局は大事な関係を壊す方向へ向かってしまいます。
相手に要求するのは簡単ですが、要求された側は困ってしまいます。自分を困らせるような人と長く一緒にいたいと思うでしょうか。
根拠なく不安になってしまったら、むしろ一旦恋愛から距離を取りましょう。
仕事でも勉強でも趣味でも、恋愛以外の自分に没頭しましょう。
そのうちに、自分がなぜ不安を感じていたのか、が見えてきます。
不安の真っただ中にいると見てこないものが、距離を取ることで全体像が見えてくるのです。
大きな建物の中に入ってしまうと、それがどれくらい大きいのか判断できませんが、外へ出て離れて見ると、何階建てなのか、部屋の数や窓の数を確認出来ますよね。それと同じです。
2.相手に飽きてしまった
人間関係は1対1で濃密になるほど、二人だけの世界が強固になります。
そしてその状態が長く続くと、楽しい面よりも、相手のアラのほうが気になり始める時期がやってきます。
「マンネリ」とか「倦怠期」と呼ばれるものですね。
関係が始まったときは、「好き」というフィルター越しにお互いを見ているので、良い点ばかりが目に付いて、どんどん好意が高まっていきます。
そしてそれが一巡する時が来ます。
ひと段落ついたら、お互いが理解し合えた状態なので、そこからまた信頼関係を高めていくことへ目が行けばいいのですが、
「もっと他にも、まだ知らない目新しいものがあるはず」
と、更に相手を探求し続けてしまうと、良い点だけでなく、自分にとって(または相手自身にとって)あまり好ましくない部分に気がつき始めます。
「こんなひとだったっけ」
のように、意外な一面へマイナス評価をしてしまうと、今までの盛り上がりが反転して、急につまらなくなったり、好きな気持ちが減ったような気がしたり、場合によっては他の異性に目が向いてしまう場合もあります。
でも「飽きた」と思えるくらい、お互いの関係性が成長した証しとも言えます。
今まで気づかなかったような「顔」を見せてくれるくらい、自分に気を許してくれているのかもしれません。
そもそも人は一面的・一義的な存在ではありません。色んな顔を持った、多面的で立体的で奥が深いものです。
恋愛初期のテンションだけが「恋愛」ではありません。
さらに次の段階へ進むときがきた、と考えて、相手をそのまま受け容れましょう。
(※DVやモラルハラスメント、浮気などはこの限りではありません)
3.好きになってもらえない
片想いで、相手に振り向いて欲しいと思っているケースは勿論、正式(?)に恋人同士だったり夫婦であっても、
「相手は自分のことを本当に好きなのだろうか」
と悩んでしまうことは珍しくありません。
自分側の「好き」の度合いと、相手から感じられる「好き」の度合いが大きく乖離していると、不安になってしまってもおかしくありません。
色んな理由が考えられますが、自分自身の心の扱い方として、一つ検討していただきたいのが「投影」です。防衛機制という、心を守るためのメカニズムの一種です。
『自分自身の中にある受け入れがたい不快な感情を、自分以外の他者が持っていると知覚すること。例えば、自分が憎んでいる相手を「憎んでいる」とは意識できず、相手が自分を憎んでおり攻撃してくるのではないかと思い恐れる、自分が性的な欲望を感じている異性に対し、相手が自分に情欲を感じていると思い、「誘惑されている」と感じたりする。』
(wikipedia)
今回のケースでは、
「彼は私のことをそんなに好きじゃないのでは」
と思っている時、実は、自分で自分のことが好きではない気持ちを相手に「投影」している事があります。
なので、まずは自分で自分のことを好きかどうか、を点検してみましょう。
欠点を探してそこを直さなければ、ということではありません。
いいところをたくさん見つけて、自信につなげましょう。
そうすれば、相手からの愛情を疑うことも減り、自信をもって振舞うことで片想いの相手との関係も変化するかもしれません。
4.失恋
片想いだったにしても、恋人関係の終了を相手から申し出られたにしろ、一つの関係が終了するのですから、気分が落ち込むのは当然ですね。
特に失恋は、寂しさや喪失感だけでなく、自己評価・自己肯定感へも大きく打撃を与えます。
自分から終了する分にはそれほどでもありませんが、相手から終了を告げられた場合は、
「自分には好きでいてもらうだけの価値がないんだ」
「他の人より自分が劣っているからフラれたんだ」
「今までの楽しかった時間が全部無駄になった」
と、実際以上に自分を責めて落ち込んでしまいます。
更に、失恋して落ち込んで、そこから中々立ち直れない時、周囲から
「失恋くらいで、何をいつまでも落ち込んでいるんだ」
と追い打ちをかけられることも少なくありません。
仕事などと比べると恋愛は軽く扱われがちですよね。
ここでご紹介したいのが、平野啓一郎氏の「分人」という考え方です。
詳細はとても奥深いので省きますが、人は接する相手ごとの自分を持っていて、その集合体が「自分」なのだ、という考え方です。
失恋をした時辛いのは、恋人との間に生まれた自分の分人がそこで終了してしまうから。
どんなに望んでも、その分人を生きることはもう出来ないから、ある意味死んでしまったようなものです。
だから、悲しくて辛くて、中々立ち直れないとしても当たり前なのです。
失恋して気分が落ち込んだ時は、無理に元気になろうとしなくていいと、私は考えます。
無理して元気になるために、不適切な異性関係にはまったり、アルコールなどに頼ったら傷が広がるばかりです。
5.まとめ
- 不安になったら:旦恋愛から距離を取って、全体像を把握しましょう。
- 相手に飽きてしまったら:恋愛が次の段階へ進むときと考えて、相手を無条件で受け入れましょう。
- 好きになってもらえないと思ったら:まずは自分で自分のことを好きかどうか、を点検して、いいところをたくさん見つけましょう。
- 失恋したら:落ち込むのは当たり前。無理に元気になろうとしないでゆっくり休みましょう。
些細なことで心が不安定になるのは、ある意味恋愛の醍醐味とも言えます。
結婚などを急ぐよりも、今この瞬間の自分の気持ちと、相手からの気持ちを十二分に堪能しましょう。
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