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英検1級道場-英検1級で扱う読解問題を理解するには、キリスト教を初めとする背景知識が役立ちます

2023年5月3日 公開 / 2023年5月10日更新

テーマ:読解力向上のために

コラムカテゴリ:スクール・習い事


英検1級レベルになると、読解問題がかなり難しいのですが、下記が主な理由です

①単語が難しい(そうは言っても、英語圏の新聞や雑誌には当たり前に使われている単語レベルです)
②文章が長く、しかも構文が複雑であり、S(主語) V(述語=動詞)をしっかり押さえる必要がある
③Sがやたら長く、Vと離れているので意味をつかむのが難しい

④宗教や憲法などの社会的背景知識が求められる(歴史、伝統、文化など)

①②③は英文解釈のテクニックに関わることですが、これができれば英文がしっかりと理解できるわけではありません
④がしっかりしていないと英文を本当の意味で理解できないという点を強調しておきます

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下記は、英検1級の過去問読解問題です
大問2と呼ばれる、論旨に即して適切なセンテンスや単語を選ぶ問題ですが、正解を入れた形で読みやすくしてあります

■主旨はこうです
①アメリカでは、子供の診療については、親の判断が尊重される(文化的にも、法律的にも)のが基本だが、裁判所がこれを認めない判断をすることがある

②親だけでなく、子供自身も病院での化学治療を拒否していたが、化学治療をすれば90%助かる見込みがあると判断された事例では、裁判所は、治療を認める判決を出している

③最高裁まで行った事例では、最高裁は、治療が成功する確率が40%の見込みだったことを判断材料として、子供への治療差し止め請求を認める判決を出した。裁判所は、病院での治療による成功確率が50%を超えていれば治療を認める判断をする傾向にあり、もし、成功の可能性が高ければ判決が違っていた可能性がある

■キリスト教原理主義者の思想信条とキリスト教国としてのアメリカの実態
・旧約聖書の創世記には、ざっくり言えば、人間は神様がつくったと書いてある。すなわち、人間を生かすか殺すかは神様の領域であり、人間が手術や輸血などの医療行為をすることは神様への冒涜である
・妊娠中絶も同様であり、神様が下さった「命」を人間の手で殺すのは、罪深いことであり、神様への冒涜である

*世間では「イスラム教原理主義」という表現が流布されています。イスラム教のタリバンやISのような、コーランに書いてあることがすべて正しいと信じて疑わず、それに反対する行為は敵視して厳格に取り締まる人たちが居ます。誤解を恐れずに言えば、キリスト教原理主義者の精神構造は彼らと似ていると言わざるをえません。

*アメリカは明らかにキリスト教国であり、日本のように厳格な「政教分離」はありません
(あるのは、Separation of Church and State-「(特定のキリスト)教会と国家の分離」原則です)

証拠を二つ挙げれば十分でしょう
・大統領就任式で、大統領は聖書に手を乗せて宣誓する(=キリスト教の神様に誓っているのです)
・殆んどの大統領演説は「God bless America-神のご加護がありますように」で終わります(=(キリスト教)の神様に祈っているのです)

アメリカでは、これが当たり前のこととして認めらており、議論にならない

日本の首相はこんなことは絶対にできません
一言でも言ったら、憲法違反で内閣総辞職に追い込まれます

創価学会が公明党をつくったとき、党の綱領に「国立戒壇をつくる」と書いてあることが「憲法違反に当たる」として大問題となり、結局、公明党は綱領からその条項を削除しなければならない事態に追い込まれました。公明党の議員は全員創価学会員のはずですが、それは、議員個々人の思想信条にかかわることなので問題にはなりません。問題になるのは、公の政党が特定の宗教団体の利益に奉仕することです。

別のたとえをするならば(現実はそうではなく、わかりやすくするためのたとえ話ですので注意してください)、仮に、岸田首相が熱心なカトリック信者であったとしても、それは憲法で保障された思想信条の自由なので問題はありません。問題になるのは、首相や自民党などがカトリック教会にだけ有利になるような政治活動をすることです。

このような事柄への基礎知識があれば、英文を読んでも理解が深まります
英検1級道場は、英文解釈のテクニックを教えるだけではなく、このような社会的背景も伝えることを大事に考えています
このような指導方針に興味がある方は声をかけてください

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下記は、上記に示す内容の英検1級読解問題過去問です

Medical Decisions in the United States
In the United States, the right of parents to make decisions concerning their children's health has long been recognized, both culturally and legally, as paramount. Courts often side with parents who, for example, make medical decisions based on religious considerations. In extremely serious cases, though, the issue can get complicated. American courts have been known to override this precedent and allow treatment that defies parents' wishes. Such legal interventions are usually initiated under circumstances where there is a question about whether parents are making choices in the best interests of the child.

Given the sensitive nature of the issue, no matter how the courts rule, their decisions are by no means easy to reach. In a recent case, a court ruled that the actions of parents in refusing chemotherapy for their son's Hodgkin's lymphoma-when such treatment was expected to have a 90 percent success rate-were illegal.
The parents argued their religious beliefs dictated that alternative methods of healing be used, but the child's doctors argued such methods would almost certainly fail to cure an otherwise fatal disease. The court faced a further complication when making its decision, as medical ethics in the United States dictate that children participate in decisions involving pain. In the above case, the child was totally against the treatment. Nevertheless, children seldom have the long-term perspective of medical practitioners, and it was this that finally swayed the court.

In another contentious case, however, parents who belonged to the Christian Science Church, which believes faith and prayer are superior to conventional medical treatment, sued for the right to withhold chemotherapy for their child's Burkitt's lymphoma, an often fatal disease. The Supreme Court ruled with the parents, holding that statistically the recommended chemotherapy had only a 40 percent chance of success. When the likelihood of success is low and the prescribed treatment arduous, the courts are reluctant to order treatment. The implication of the court's ruling was that the state may well have prevailed if the medical treatment had carried a greater than 50 percent chance of success.

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下記に「グーグル翻訳」を貼り付けておきました
上出来です
大筋を理解するという目的で使えば効果があります

大半は問題ないのですが、一部で修正やコメントを加える必要があります
皆さん自身で検討してみてください

米国における医療上の決定
米国では、子供の健康に関して親が決定を下す権利は、文化的にも法律的にも最優先事項として長い間認められてきました。 裁判所は、たとえば、宗教上の考慮事項に基づいて医療上の決定を下す親の側に立つことがよくあります。 ただし、非常に深刻なケースでは、問題が複雑になる可能性があります。 アメリカの裁判所は、この前例を無効にし、両親の希望に反する治療を許可することが知られています. このような法的介入は通常、親が子供の最善の利益のために選択を行っているかどうかについて疑問がある状況で開始されます。

この問題のデリケートな性質を考えると、裁判所がどのような判決を下したとしても、彼らの決定に到達するのは決して容易なことではありません. 最近の訴訟では、息子のホジキンリンパ腫に対する化学療法を拒否する両親の行為は、そのような治療の成功率が90%であると予想されていたにもかかわらず、違法であるとの判決を下した.
両親は、自分たちの宗教的信念により、別の治療法を使用する必要があると主張しましたが、子供の医師は、そのような方法では致命的な病気を治すことはほぼ確実に失敗すると主張しました. 米国の医療倫理では、子供が痛みを伴う決定に参加することが義務付けられているため、裁判所はその決定を下す際にさらに複雑な問題に直面しました. 上記のケースでは、子供は完全に治療に反対していました。 それにもかかわらず、子供たちは医師のような長期的な視点を持っていることはほとんどなく、最終的に裁判所を動かしたのはこれでした.

しかし、別の論争の的になっているケースでは、信仰と祈りが従来の治療よりも優れていると信じているキリスト教科学教会に所属する両親が、しばしば致命的な病気であるバーキットリンパ腫の化学療法を差し控える権利を求めて訴訟を起こした. 最高裁判所は、統計的に推奨された化学療法が成功する可能性は 40% しかないと判断して、両親に判決を下しました。 勝訴の可能性が低く、処方された治療が困難な場合、裁判所は治療を命じることに消極的です。 裁判所の判決の意味するところは、治療が成功する可能性が 50% を超えていれば、州が勝っていた可能性があるということでした。

この記事を書いたプロ

山中昇

自ら英検1級合格を続ける英語指導者

山中昇(英検一級道場)

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