英検1級道場-一気に読解力を養うレッスン
2022-3(2023年1月22日実施)英検1級1次試験のリーディング、読解問題の1番目は、Fire Hawksというタイトルでした。
これは、オーストラリアにいる鳥の話です。
・アボリジニの伝説では、Fire Hawksという鳥が人間に火の使い方を教えたことになっている
・現在のアボリジニや消防士の証言によると、鳥が火のついた枝を鉤爪で掴み、他の場所に飛んでいって落とす。灌木や草原に火をつけて、隠れていた小動物を追い出し捕獲する。
・以上の点から、人間だけが火を使えるというのは前提が覆る。
・これまでの山火事は、防火帯をつくるなどにより鎮火させていたが、このような鳥の行動があると対応できない。考え直す必要がある。
私はこの読解問題をとても興味深く読みました。
そこで思い出したのは、両国にある江戸東京博物館の展示物のことです。
江戸時代の火消しの道具が展示されています。
ハンマー、鋸、鉤爪など。家や建造物を壊す道具です。
江戸時代の火消しは、火事が起こったときには、消火ではなく、延焼を防ぐための破壊活動が役割でした。
そのために、家を取り壊す道具を持って火事場に駆けつけることが必要でした。
江戸東京博物館を訪ねたオーストラリアの団体客が、これらの展示物を見ながら話したことが印象に残っています。
「江戸時代の火消しは、オーストラリアの森林火災の鎮火活動と同じですね」
江戸の町は火事が多かったことで知られています。
中でも1657年、江戸の明暦の大火。八百屋お七の話で有名な話です。
この大火を機に江戸では様々な都市改造が行われたそうです。
防衛上のために設けられなかった隅田川に橋が架けられたり(両国橋や永代橋)、延焼を遮断するための防火線として広小路が設けられたしました。
上野広小路という地名が残っているのは、この名残です。
上記英文記事には Firebreakと表現されています。
この時、江戸市外の6割が燃え、江戸城も類焼し、天守閣も焼けてしまいました。
幕府は、財政難と、戦争に備える必要が無くなった時代背景からして、再建せず、江戸の町の復興に尽力します。
そんなことを思い出しながら、この問題を眺めています。
英検1級道場では、読解問題を解説するときに、このようなエピソードを交えながら、楽しく勉強するようにしています。
英語だけでなく、様々な背景知識が得られることが英検1級道場の特徴です