英検1級道場-戦い済んで、日が暮れて 私も受験してきました(38回目)
英検2022年度第2回の読解問題の3番目、800字問題は、アイルランドがイギリス植民地から第1次世界大戦後に独立を果たすまでの歴史が書かれていました。大変興味深い内容で、さすが英検だと感心しました。
政治的な問題なので、難しいように思いますが、実際に読んでみるとそれほどではなく、単語と文法の要素から見ると英検2級レベルでも読むことが可能です。
大筋としては、アイルランドは北部と南部に分かれています。北部はプロテスタント中心でイギリス寄り、南部はカトリック中心で独立性が強いところです。
独立前のアイルランドには、穏健派と武闘派がありました。穏健派はイギリスの植民地内でできるだけ自治権を要求する立場、武闘派は完全独立を目指す立場でした。アイルランド全体では穏健派支持が高かったです。
ところが、第一次大戦中(1914-1918)の1916年、イギリス軍がヨーロッパ戦線に戦力を集中したとき(アイルランド人も従軍した)、武闘派はチャンス到来とみて武装蜂起しました。しかし、国民の支持が集まらず、主要設備占領もできずにイギリス軍に鎮圧されます。大きな死傷者を出し、ダブリンは瓦礫の山になります。
その後、現地のイギリス軍は、秘密の軍事法廷を開き、首謀者15名を銃殺するという所業に出ました。
これは軍事法廷の正式な手続きを無視したものであり、イギリス政府はアイルランド人の反発を恐れます。
第一世界大戦後の総選挙で、独立派のシンフェイン党が多数派を獲得し、一気にアイルランドは独立をはたしました。
このことを記念して、アイルランドでは1916年が特別な年として記憶されています。
以上が問題文に書かれている内容です。
以下は私の持っている情報からの推測になります。
今後の動きですが、北アイルランドは現在イギリス領となっています。しかし、南のアイルランド共和国に入り、アイルランド島全体としてひとつの国を目指す動きがあります。これは同じ島の中で、EUを脱退したイギリスとEUメンバーであるアイルランドとの間で不都合が生じているからです。(人、モノ、お金の流れ)
イギリスに関してもうひとつ不都合な情報があります。スコットランドが独立の動きを見せていることです。スコットランドはEU残留希望者が多く、来春国民投票で決着がつくと理解しています。
そうなるとイギリスは、イングランドとウェールズだけになります。
人口、経済力を初めとする様々な点で、国力の衰えた小さな国になってしまいます。
ひょっとしたら、そのイギリスがEUに戻るかもしれません。
イギリス界隈の動向には目が離せなくなっています。